院長BLOG

2023.07.31更新

先週はなにかと忙しくて、診療時間外にもいろいろとやることがあって、ほとほど疲労困憊しました、、。

土曜はブログで書いたとおり勉強会にも参加し、その後、以前から約束していた旧友との会食ではもうぐったり状態。

日曜は日曜でまあ雑用が盛りだくさんで、それなのに朝から頭痛やら変な汗やらしんどくて、これはなんだろうかと思いつつ、暑い中でいろいろと作業をこつこつとこなしているうち、とうとう「もうダメだ」と思うほどになってしまいました、、。

しかしそれでも頑張っていろいろ休憩しながらもこなして、結果的に日曜はめちゃくちゃいろいろなことを成し遂げました。

実はこの週は運動をする気力と時間もなかなかなくて、しかし日曜夜、食後に「さすがにこれではいかん」とばかりに30分のスローランニングをしました。夜でも気温が30度とかある猛暑です。

熱中症対策には水分といわれていますが、水分をとるのも内臓に力が必要なのですよね。冷たいものを摂りすぎると、それはそれで体調崩します。運動で内面を温めて冷たい飲水に耐えれるようにすることも必要なのですが、休養も必要ですし、バランスの兼ね合いが本当に難しいものです。エアコンや扇風機での室温調節も、朝方冷えすぎるとそれも風邪の原因になってしまいますからね、、

 

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.31更新

先週は金曜土曜と連日の勉強会でした。

土曜午後往診ののち、雑用を少し済ませたあと夕方から名古屋市内での勉強会です。

このところ、糖尿病と心臓と高血圧の関連で勉強会がいろいろとあって、それらの治療が実はお互い別の治療にも反映されるという話でつながっているのですが、今回も同様で、慢性腎臓病の治療が劇的に変わり、このところどんどん評価が上がっている糖尿病薬であるSGLT2阻害剤が、とうとう慢性腎不全の2023年版ガイドラインで、「慢性腎臓病の治療にSGLT2阻害剤は必須である(推奨度IA)」という記載がなされたということが一番強いメッセージと受け取りました。

日本ではGFR値が平均5.5まで下がると透析導入となるとのことですが、つまりかなりギリギリの線まで透析を回避しているということなのですが、単に数値が低いというだけでなく、その悪化していく速度が重要だというのです。

悪化するスピードを少しでも遅らせることが透析導入を先延ばすために必要なわけで、そのためには、血圧をいかに低め低めに維持するか、そのためにはいかに減塩するか、そしてSGLT2阻害剤を服用しているか、ということが大変に重要だという訳です。

慢性腎臓病は症状が出ないので、実に健康診断で見てみると、例えば岐阜県でのデータでは、健診で判明した慢性腎臓病のうちなんと何も病院に受診もせず治療もしていない人が6割もあるというのです。

その、健診でも測定されるGFR値というのは、だいたい、40以下となれば、腎臓内科への受診を検討すべき、となるそうです。そして、尿たんぱくをいかに陰性に維持するか、というのが、開業医レベルでやれることとして非常に重要なテーマだというのです。

そもそも、45歳を過ぎると、健常人であってもGFRは年に1ずつ低下していくそうです。腎臓病を持っているひと、糖尿病の人、脂質異常や高血圧の人、というのはその度合いがより悪いのです。

たとえば腎保護のためには、慢性腎臓病である、となった人は家庭血圧は125の75以下にすべしなのです。血圧については完全にそういったさまざまな疾患や合併症とのからみでエビデンスがでており、低ければ低いほど良い(低血圧症は別ですが)ことが明確に分かっています。そして腎臓保護作用のある、長命効果のあるSGLT2阻害剤は実は降圧剤としても機能するというのです。具体的には服用開始3か月で収縮期血圧を10も下げるとのことでした。

専門医でない医者が「生活習慣病など放置しておけば良い」などとマスコミでバカ丸出しで説いている輩には、どうか惑わされないようにしていただきたいものです。

ちなみに、腎臓を守るための食事とは、減塩が第一ですが、いわゆる「地中海食」が良いそうで、実際それを栄養指導に取り入れて効果を上げているクリニックもあるそうです。

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.29更新

28日金曜は疲労がかさんでいましたが、夜、名古屋駅付近の会場にてセミナーに参加してきました。

このところやたらと勉強会が続いています。

内容は先週土曜の、糖尿と心臓の話と重複する内容もありましたが、今回は今回でまた理解と知識が深まりました。

先週は糖尿病の新薬についてでしたが、今回は血圧の薬にまつわる話でした。

糖尿病のコントロールが悪く、かつ高血圧コントロールも悪い場合、そうでない場合に比し16倍も致死性合併症の発生率が高くなるという話はインパクトがありました。

日本では高血圧の治療は利尿剤はあまり第一選択になりづらい傾向がありますが、利尿剤は腎負担や高尿酸血症のリスクがあるものの、一番安価でかつ効果も高いものです。そして今回のARNIといわれる降圧剤は腎負担や高尿酸血症のリスクがない安全な利尿剤効果と血管拡張効果の2種類の薬剤の複合体です。そして今回驚いたことは、理論的にも実地臨床的にもこの薬剤は糖尿病の治療にもわずかながら寄与する作用があるというのです。これはおどろきました。

夜間寝ている間も血圧が下がらないという、non dipperタイプの高血圧は、寝ている時ですら体に負担をかけているので、心血管合併症リスクが高まります。そしてその理由は塩分の摂り過ぎだったり睡眠無呼吸による交感神経亢進によるものだったりいろいろ考えられるのですが、いずれにせよそういうタイプの高血圧では糖尿病にも悪さをするのだというのです。おそらくはアドレナリンが関与しているのだろうと推察していますが、薬理的にもこの降圧剤は糖尿病の治療としても間接的に作用するということです。

さてこのように、コロナも明けて街にはいろいろと人が増えてきています。この猛暑にも関わらず、名古屋市内の繁華街には夜遅くても飲み屋など賑わっている印象がありました(タクシーの中から観察)。そしてウェブでない実地会場でのセミナーも徐々に増えてきました。それに乗っかるように私の勉強もまた自動的に増えることになります。なぜにたえずセミナーや研究会といった勉強会に参加するのか、というと、やはりそれはこういった勉強会は一番最新のデータや知識を、無料で、短時間で分かりやすくプロ中のプロという専門家医師が解説してくれるからです。自分自身の理由としては、一人で仕事をしていると、なかなか誰かに相談するということができないので、どうしてもたえず勉強しつづけなければ不安だということがあります。

大病院ですら、一人の医師が勝手に独善的な治療をして合併症死させてしまう事件がありますし、大学病院でチームで診療していてすら、明らかな医療ミスを放置しつづけた事件もありました。

個人医院でやっている以上、なおさらに、ガイドラインを意識する、安全を確保する、そのうえで本質的に必要であれば積極的な治療も取り入れる、というような、ボクシングでいうならばディフェンスとオフェンスを両方バランスよく備えていなければならないのだと、思うわけです。

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.28更新

フォトセラピーの予約枠がかなり先まで一杯になっていることと、何か月も前に予約された人が当日や前日にキャンセルをされる事例が散見されることから、

当面の間、新規患者さんの受け入れを制限することにします。

目立つ所見のある症例に限定し、なおかつ、本人さんのモチベーションが高く、直近で空いている枠に予約をされる方にのみ、新規受付可能とします。

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.27更新

3軒も皮膚科を受診した結果、アトピー皮膚炎だと誤診された状態の、結節性湿疹の患者さんが当院に受診しました。

また、名医だと評判だという皮膚科を3軒受診してみたが、標準治療ガイドラインの第一選択の治療を一度も提案されることもなく当院に受診した患者さんがいました。

いずれも皮膚科を単科で標榜しているクリニックだと思いますが、

そういった、皮膚科の専門医だとか、名医だと言われている、とかいう先生たちの根本的な価値って、何だろうかと率直に思います。

 

消化器を単独で標榜していた病院がこのほど経営不振で廃業されましたが、そこでは消化器臓器を専門にしていたにも関わらず、消化器がんのスクリーニングをせずにいて、気づいたときには手遅れになっていたという事例が、私が関わっただけでも2件ありました。

このように、専門だとか看板だとか、一体どの程度信頼できるんだろうかと、正直な気持ちとして、疑問に感じざるをえない事例をときどき経験します。

そもそも、専門医というのはちゃんとした資格免状があるからまだ分かりやすいけれど、「名医」だと「言われている」という「専門家」って、誰基準の話なんでしょうかね。

まともなことをまともにやれないような専門医よりは、専門医じゃないけれど教科書や最新のガイドラインに則って診療する医師のほうが、よほど安心だと、私は思うし、そう心がけています。また、専門医の資格を持ち標榜しているからには、それ相応の責任を伴うのだという自覚も忘れてはならないと、日々戒めねばならないです。

 

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.24更新

期せずして前の週と連続のような形になりましたが、GIP/GLP-1受容体作動薬の注射剤という新しい薬の勉強会が、先週土曜日の午後、東名古屋医師会で行われたので参加してきました。

私の場合、物事を1回だけ勉強したのでは複合的に理解できないタイプなので、こういう勉強は有意義です。

今回は三重県から大西勝也先生がはるばるお越しになっての現地講演でした。この先生は専門書や動画配信でも有名だとのことで、同じ開業医でもずいぶん違うものだとタメ息がでる思いでした。

新薬の使用経験やその原理を解説するのはもちろんですが、それの前提として、そもそも糖尿病の合併症は何が実は多いのか、というところからスタートする講義でした。

糖尿病は全身の細かい動脈を損傷する疾患であり、網膜症、腎不全、心筋梗塞、脳梗塞、末端壊死、といった重篤な合併症を一番に想起するのですが、実際に一番多いのは何か、というと、それは心不全だというのです。

心不全は通常のイメージでは心筋梗塞や弁膜症を繰り返してだんだんと進行するように考えていましたが、糖尿病の場合の心不全というのは、実に背景にさまざまな理由があって成立する高頻度の合併症ということです。たとえば糖尿病の患者さんは高インスリン状態ですから、インスリンはナトリウムの貯留を誘発するので、それは当然高血圧や心負担になりますし、心負担が持続すれば心肥大となり、柔軟性のない硬い心臓となります。また通常の糖尿病はメタボ体型の肥満が多いですから、肥満による心負担もありますし、あからさまな大きい冠動脈(心臓の動脈)を閉塞狭窄してしまう狭心症や心筋梗塞でなくとも、ごく微細な冠動脈血流不全を徐々にもたらしています。他にもいろいろな糖尿病由来の作用があって、心不全に至る、というのです。

今回の講演された先生は循環器の専門なので、心臓についての基礎的な知識の話、そして現状ある糖尿病薬の、心不全の場合にはどの薬を選択するのが最善か、といった話なども聴けて、大変勉強になりました。会場とウェブ聴講とで参加された医師らの中で、結果的に私があれこれと質問してしまいました。

いろいろたくさん勉強になったことがありましたが、たとえばそのうちの一つ、ヘモグロビンA1cは糖尿病患者さんの場合、ベストはいくつくらいなのか、という点については、2種類以上の糖尿病薬を使用する必要があるレベルの、すなわち通常レベル以上の糖尿病になっている患者の場合、A1cでいうと6.0から6.5までの値がベストな目標値である、と明確な解答を示されました。

熊本宣言でかつて「A1cは7%以下であればとりあえずは良い」などといった、正常値6.2%以下という前提から乖離した目標が過大評価されるあまり、ついついクリニカルイナーシャに陥ってしまっている症例が少なくない現状を顧みるに、やはりきっちりとしたエビデンスにもとづいた明確な目標値というのは重要です。

さて、当然ながら運動とダイエットは糖尿病やひいては心臓の治療としても重要なのはもちろんですが、それでは1kgやせるのにはどれだけの運動をどれだけつづけるべきか。この計算についてはいろいろな先生がいろいろな情報をだしているので、どうにも明確なものがないように思うところですが、今回の講義では、1kgの痩身には7000カロリーの運動が必要だと説明されていました。ブドウ糖なら1g4カロリー、タンパク質だと4カロリー、脂肪だと9カロリーだとすると、1kg7000カロリーとなると1g7カロリー。どういう基準でこの数値になるのかは今回は質問しわすれましたが、ともかく。

今回の講義でいわれたのは、たとえば700カロリーをウォーキングで消費するのには5時間かかるそうです。実際、そんなにか?と思いましたが、それほどに厳しいと思っていたほうが良いとは確かに思います。そういう前提だとして、1kg痩せるのには50時間歩き続けねばならないということになります。それはふつうには無理なので、では無理なく、ということでいうとたとえば3か月で1kg落とそう、ということにした場合、細かくわければ、1週間に150分以上のウォーキング、かつ1日おき以上に頻回に、ということのようです。たとえば30分の歩きだと5日間、となります。それが最低必要だと。その結果3か月後にやっと1kg痩せるのだということです。

ランニングならどうなのか。歩きで30分だと2km少々、早歩きだと3km、ということから計算すると、歩きでも走りでも、大体の距離が換算できます。

愛知池クラスを週3回やれば、ざっくりいって、3か月で2kgやせる、ということになります。それにダイエットを組み合わせれば、さらに効果的でしょう。

そうなんですよね、、実体験としてもだいたいそんな印象がありますが、それでもなかなか途中でできなくなったり、しますね。

でも毎日コツコツと意識して続けましょう、です。

肥満、糖尿は、心不全の原因です。そして注射剤ではあるが、やせ薬としても自由診療では使われているこの薬、本来の使い方である糖尿病のメタボ体型の過食の人に、是非今後提供していきたいと考えるにいたりました。ただし、自由診療で痩せ薬としては私は扱うことはしませんのでそこは誤解しないようにしてください。

ダイエットだけではダメです。運動も大事なのです。密かに私は日曜にまとめてですが、地味にストレス発散もかねて運動してきたのです。でもそういうまとめてではなく、コツコツと、少なくとも1日おきに続けることが大事なのです。頑張りましょう。

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.18更新

7月16、17日は連休でした。

16日にはコロナで延期が続いていた、東京での内痔核治療法研究会に3年ぶりくらいでしょうか、参加してきました。

要するにALTA療法についての研究会。研究会というよりは実際には学会に近い内容です。

ジオン注射によるALTA療法は、日本では導入開始後、かれこれ18年にもなるのです。そして全国各地でこの治療法を採用している院所は多数あろうかと思いますが、実際にコンスタントに毎年毎月毎週のように実施している施設というとある程度限定されてきます。

そして今回も例年どおり、いろいろな施設からの発表があり、各々どういう症例にどういう風に手術やジオン注射をしているのかを解説されました。まあ大体毎回ある程度の共通テーマはあるものの、毎年同じような内容です。ただし、年一程度でこういう学会に参加することは、余計な合併症の回避、知識と技能のレベルアップ、維持のためにはやはり必要だと感じます。

それで、今回もいろいろ細かい手技や新しい知識を得たのですが、各々の院所で、入院か外来か、切除か注射のみか、コンビ治療をするのか否か、麻酔は無麻酔か局所麻酔か腰椎麻酔か全身麻酔か、といった因子でそれぞれ異なります。状況因子が異なるので単純にどれが一番良いかとは言えないのですが、当院の場合、無床診療所であり、美容の面も考慮し、患者さんの苦痛をなるべくゼロにしたい、そして日帰りで、という条件となりますので、やはり現状のやり方(もちろん患者さんの病態に合わせて)がベストだろうなあ、と思いました。ALTA療法のやり方については基本手技はだいたい同様で、限られた範囲内で、各院所で、より良いやり方を検討している、というところでしょう。

今回得た新しい知識や、改めて当院のやり方に自信をもった手技を、さらに今後の臨床手術に反映させていきたいと思います。

東京はひさしぶりに訪れたのですが、やはり、帰ってくると地元の田舎地方の良さというのか、自分が普段過ごしている家や地域の良さというか、ありがたみを再認識しますねえ。もちろん東京は遊び観光で訪問するならばいろいろ行きたいところはまだまだありますし、何なら遠い将来、1年ほどアパートでも住んでいろいろと毎日どこかしらの名所旧跡老舗などを訪れたいとすら思うほどですが、学会でたまに行く程度となると会場に往復するだけですから、楽しいというのとはまた別になりますのでね。

しかし愛知も暑いですが東京もひどく暑い日曜でした。この3連休の間、熱中症や海や山の事故のニュースが毎日のように報道されていました。バイクの事故なども、実は熱中症により運転がうまくできなかったという要因もあるのではないかとすら思います。こういう真夏のバイクは危険認識を十分してスケジュールなど考慮せねばならないです。私は真夏はとてもツーリングはできません。山登りや海川のレジャーも同じように危険です。猛暑の日に高難度の登山に行く中高年の人たちが滑落死亡事故を起こしたという報道を目にすると、そんな難しい山に行くということは、相当のベテランか体力がある人でないと危険だろうに、どの程度のトレーニングやスケジューリングだったのだろうか、と毎回思います。個人的には北アルプスや富士山などは相当スケジュールに余裕があって季節も楽な状況でもないかぎり、そして、自分が相当訓練された状況でもないかぎりは無理だと諦めています。

猛暑では、熱中症はちょっとした野外活動で簡単になってしまいます。

17日の月曜はありがたく休日だったので、時間を活用して、クルマの洗車とか、クリニック周辺の草取りとか、ツバメの空の巣撤去や植樹の足元の整備などでちょっと作業をしただけなのですが、途中途中十分に休憩をとらないとすぐに頭痛になりかかるほどでした。汗がポタポタ落ちてきます。クラクラします。

生きるということは、いろいろと大変です。昼の東京も、名古屋でも、こんなに暑いのにかなりの人出がありました。みんなこんなにクソ暑いなか、どこに行くんだろう?と不思議で仕方ないですわ。

昨夜、愛知池のランニングでは水道事業団の管理事務所付近だけ良い風が吹いていましたがそれ以外ではあまり風がなく、簡単に汗だくになりましたが、昼に比べるとこれでも全然涼しいんでしょう。南側の遠いむこうで花火の音がしていましたが全然見えない。どうやら名古屋港の花火だったようで、それなら愛知池の堤防からでは見えるわけないですが、音だけはしっかり伝わってくるからえらいものです。ホタルはもうさすがに居ないですが、まだまだ今後どうなるかわからないので夜走るときはいつもほのかな光を求めて走るつもりです。

さあ、連休があったため今週は今日、火曜日からスタートです。ボチボチと頑張りましょう。

 

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.14更新

昨夜木曜の夜には、名古屋市内で勉強会に参加しました。

2型糖尿病に対する、週一で自己注射する治療薬です。注射薬というと、インスリンを思い浮かべるかと思いますが、いまや多くのメーカーからこの、GLP1受容体作動薬の注射剤が販売されています。

GLP1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬というのは、インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、胃内容排出をゆっくりにする、満腹感を促進することで過食を防ぐ、といった効果があり、結果としてダイエット効果と血糖降下作用をもたらすというもので、基本は注射剤です。

今回新しい薬というのは、そのGLP1受容体作動薬に併せてGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体作動薬を配合した注射剤です。

GIP受容体作動薬によっても、GLP1受容体作動薬と同様に、肥満改善、過食是正、血糖降下の効能があります。

つまり、似通った性質の薬をダブルで配合した新しい薬です。

今回提示された治療報告では在宅勤務のメタボ体型の患者さんで100kgオーバーの、HbA1cが9%ほどにもなろうかという患者さんに、この画期的な薬を開始したところ、みるみる過食が是正され、かつ、血糖降下作用もあり、A1cが6.5%にまで、この薬だけで改善したというものでした。体重も90kg台に減ったそうです。患者さんの自覚としては、「胃の満腹感が比較的感じやすいので、無駄食いがなくなった。」とのことです。

この手の薬は米国では肥満症の治療薬としてすでに認可されていて、日本でも個人輸入や自由診療でダイエット治療として使用されているようです。保険診療として安易にダイエット治療に認可するのには良くないとは思いますが、ともかく効果はあるのだ、ということですね。

インスリン注射を毎日大量に投与するのは肥満の助長やインスリン抵抗性の発生など、良くない副作用がありますので、なるべくこういった本質に良い薬に移行していくことが今後の糖尿病治療にとって有用だと思います。

まだ新薬のため2週間ずつの通院処方しかできませんが、今後適応ある患者さんに紹介していきます。

 

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.10更新

この時期、虫刺され、じんましん、トビヒ、湿疹といった皮膚疾患が目立ちます。

なかでもこのところの湿度100%といってもいいほどの、いってみれば梅雨最後の猛烈な蒸し暑さは、皮膚のみならず体力も消耗させます。

この時期の虫刺されなどは、普通の蚊とは違って何かひどい反応を起こすやつもいます。

そういうやつが、いつまでもかゆさを持続させたり、一旦改善したかなと思うと、またぶり返して当初の症状が完全に復活してしまったりするのはどういうことなのだろうかと考えます。

かくいう私自身がアレルギー体質ですので、しかも年々それが悪化している気がするのは、本来なら老齢化に伴って免疫学的劣化していいはずのルールに矛盾しているように思います。

アレルギーにはI型からIV型まで4種類あり、おおまかにいえば即時型がIで、ゆっくり持続再燃型がIVです。実際にはそういう単純な話ではないですが、まあまあそういうような感覚でとらえてください。

通常即時型タイプはすぐ発症してすぐ治まるのが普通です。ひどいのは昨今ワクチンの副作用で有名な言葉となってしまった、アナフィラキシーです。ふつうは花粉症とか蚊にさされたあとの反応とか、そういったものです。

持続型タイプのアレルギーはというと、炎症が持続するわけですから、臓器障害をもたらします。当然、原因があって惹起されるわけですが、原因を除去したあとでも持続してしまうのです。

この時期、アレルギーが何故ぶり返しやすいのか。じんましんなどが発生しやすいのか。

それは皮膚の温度、血流の問題があるかと思います。また、リンパ流は皮膚には非常に強烈に豊富に流れており、免疫のバリアが本来非常に強い機構なのですが、こう暑いと、そして湿度が高くて発汗してもそれが蒸散気化せずに停滞したままだと、結局気化熱放熱効果が得られず、皮膚温度が下がりません。もちろん熱中症の原因にもなるのですが、皮膚の疾患に関連していえば、この皮膚体温の上昇持続というのは、結局免疫反応をいつまでもスイッチオン状態にしてしまうことにつながります。酵素反応も上がるし、血流も上がるから拡散しやすいし、それは例えばバイ菌の培養増加や拡散にもつながってしまいます。だからかゆみもトビヒも広がりやすい重症化しやすい、となります。

さらに暑さは身体の疲労を招きますから、内臓も疲弊するし、ストレス緩和物質である内在性の副腎皮質ホルモン(ステロイド)の消費量も増えますから、それが相対的に不足すると、潜在的なアレルギー疾患が水面下から露呈することになります。無駄な方面に免疫が浪費されるので、結局、帯状疱疹なんかも起こりやすくなってしまいます。

よって、こういう時期のアレルギー疾患については、弱い治療で効かない場合には、比較的早期のうちにきっちりと見合った強い治療でケリをつけるべきでしょう。

当院では内服や外用だけでなく、ヒスタミンブロック注射、ひどい場合にはステロイド注射も躊躇せず、というスタンスで対応します。これにより、すぐに危険な反応をまず抑えてやることができます。

つまり、本来即時型であったアレルギー反応が、弱い無効な治療でダラダラとやっているとそのうち慢性化して、無用で有害な免疫系が完成してしまう恐れがあることを考慮しているのです。無用で有害な免疫系がくだらない毒虫ごときによって賦活化されてしまうと、変な形で自己免疫疾患が発生したり、血液の悪性疾患や臓器障害などにもつながりかねない長期的な炎症を内在させつづけることにもなりかねません。

何より、いつまでもかゆい症状があるというのは、本当に不愉快です。夜も眠れません。

そういったわけで、ぶり返すかゆみというものに対しては断固すぐにカタをつけてやる、というつもりで治療したいと考えています。それでもなかなかやっつけられないケースですらあり得るのがこの季節です。

ようやくセミが鳴き始めました。これで梅雨も終わりを告げそうです。今週もボチボチと頑張りましょう。愛知池もウッソウとした草木の発散する何とも言えないパワーに凄いものを感じます。空恐ろしいほどです。湿度100%でも歩いている人はわずかながらおられますね。無理せずに運動もしましょう。

投稿者: 三本木クリニック

2023.07.09更新

昨日、土曜午後から4時間の長い講義研修を受けてきました。

なんだかんだと毎年この手の研修を受けている気がします。認知症だの生活習慣病だの、と。

しかし昨日の土曜は蒸し暑かった。風が全然吹かないし、湿度と気温はすごいし。名古屋駅付近の会議室での受講でしたが名古屋駅周辺はこんな蒸し暑さでも土曜午後だからか結構人通りは多くて、なかには野外居酒屋のようなところでひしめき合うようにして飲み会しているグループもいて、遠くから見るだけでも、ぞっとするほど暑苦しいんだが、本人らは冷たい飲み物飲むから気分いいんかなと思いつつ、会場付近を歩きました。

さて今回も何かしら新しい知識が得られたわけですが、復習になった点や、ポイントとして紹介したい知識などを、ちょっと箇条書きにしてみます。

 

認知症の患者さんを家族が在宅介護する場合、その限界はというと、失禁、入浴拒否、着衣失行、といった3主徴がみられるようになったころ、とのことで、大体長谷川式スケールでいうと30点満点中10点がこのあたりだと。

しかし、とはいえ特養ホームでも月12万円の費用がかかる、グループホームだとそれよりは少し安いけれど、10万円くらいはするだろうから、本人の年金受給額により、施設入所可否が決まる面もある、と。

ドネぺジル(商品名アリセプトなど)の副作用で一番特徴的な3つ、頻尿、易怒症(頻度5割)、除脈による失神

認知症は今後ますます症例数は増えるが、それは高齢者が増えるからであり、その高齢者の中での発症率はどうかというと、今後は減っていくだろう。それの根拠は3つ。学歴が上がっていること、高血圧のコントロールが広まったこと、糖尿病の発見と治療コントロールが広まったこと。学歴は、昔の高齢者というと尋常小学校どまりだったが、いまの高齢者は高卒が多い。単純に学歴が上がるということは、結果的に認知症になりにくいことにつながっている。高血圧の放置は正常状態の人と比較して3倍認知症になりやすい。糖尿病も同様に2倍認知症になりやすい。多くは高血圧と糖尿病とは合併しているため、その放置により認知症発症リスクは相乗的となる。

運転免許証の返納、断念についての時期としては、実践的には、長谷川式スケールでいうと20点あたりが分水嶺となる。20点以下になるようなら返納の時期。

デイサービスがコロナ禍でサービス中止となった結果、社会的孤立状態を発し、認知症の悪化となったことは事実としてある。

認知症の薬は基本的に4種類。ドネぺジル、メマンチン、リバスチグミン、ガランタミン。

80歳ごろからはフレイル(脆弱性)に注意を。フレイルは認知症だけでなく、生命の危機となる。フレイルの予防には、筋トレ、肉魚などタンパク質を積極的に摂る、そして人と会うこと。

認知症の治療薬としてメマンチンは本来中等度以上の症例に使い始めることになっているが、実践的にはむしろ最初のうちに使用し、そのうちドネぺジルを追加併用とするほうが良い。

抗認知症薬をフルドーズ(通常量)使いなさい、と厚労省は指導しているが、副作用の兼ね合いと実際の効果とを鑑みるに、実地臨床としてはフルドーズで処方しないほうが良い場合が多い。

認知症の薬をいつまで服用すべきかについては、目安として、長谷川式で10点以下になったとき。ただし、メマンチンはBPSD(随伴症状。問題行動)に有効なので統合失調症薬を使うより安全に有効。

BPSDに有効な薬としては、グラマリール、デパケン、メマンチン、抑肝散(この漢方は幻覚症状の是正にも有用)

アパシー(無動症状)や嚥下障害が認知症の終末期ではあるが、この症状に対してシンメトレル(パーキンソン症候群の薬)が有効なことがある。

認知症の原因としては一番多いのがアルツハイマー型で大体60から70%を占める。二位が脳血管型かレビー小体型。アルツハイマーと血管型とは重複していることもある。前頭側頭葉型だけは抗認知症薬は無効。

認知症と鑑別を要する疾患の一つに高齢者のてんかんがある。高齢者のてんかん発症率は1%。

長谷川式テストは3か月おきとか定期的に実施すべき。それにより症状の推移を把握する。

90歳代の認知機能障害はもはやアルツハイマーとは違う病態のことがほとんど。

介護者による虐待を見つけたら医師は地域包括センターへ通報する義務がある。

長谷川式テストのうち、一つだけで認知症の程度をだいたい把握するとしたら、野菜の名前をどれだけすらすら言えるかを試すといい。13種類以上すらすら言えればOK。7種類未満だと認知症の可能性が高い。その中間はいわゆる軽度認知機能障害(MCI:mild cognitive impairment)。

エーザイから新しい認知症の予防薬が今年の秋ごろに発売となる予定。レカネマブ注。これは脳のアミロイド沈着の除去効果があるのだと。ただし非常に高額であり、かつ2週間おきに2時間もの時間をかけて点滴投与する必要があり、脳出血の副作用が1%ながらある。保険収載されるだろうが、最初は各県に1施設だけという限定的にのみ供給されることになるだろう。

抗認知症薬を処方するなら免許証の返納は必須であると考える専門医も少なくないが、それは早期発見早期治療の原則に矛盾している。かつ、それを服用しつつ免許保持する(運転もする)こととは法的には本来は矛盾しないのだが、教科書的教義に則るならば臨床的矛盾を容認するしかなくなる。ただし免許は長谷川式で20点以下になったならどのみち返納するべきなので、運転しつつ、服薬する時期というのはそんなに長い年月ではない。

近年の高齢者の運転ミスによる事故報道のおかげで、自主返納に積極的になる家族や本人も増えてきた。

運転試験場で認知症かもと指摘されたケースで実は多いのが、難聴が原因だったという点。日本は補聴器が世界一普及しているのに世界一常用しない国だとのこと。むしろ小型の拡声器を使用するほうが良いかもしれない。

 

以上、ちょっとメモ書きを列挙するだけでもこれだけの豆知識があるわけです。今後の診療に生かしていきたいと思います。

私の場合、70人が入居している特別養護老人ホームをかれこれ15年ほど、一人で嘱託医を担当し、関わっています。毎週1,2回の往診をずっと続けています。老年医学、認知症の臨床もこれだけやれば、そこそこの経験値だと自負しています。今後、さらに入所者さんのためになるような、ちょっと生きがいをもてるようなことをしていきたいと考え始めています。ただ身体的なケア管理をするだけでなしに。

思えば当院は、というか、私は、開業以来、赤ちゃんからお年寄りまで、内科的なことから外科的なことまで幅広くずっと対応しつづけています。もちろんまだまだ未熟者であり、日々研鑽しなければなりませんが、これだけ幅広く長くいろいろやっていると、さすがに症例数は勤務医を続けた場合と比較しおそらくは2ケタほど、いえそれ以上かも知れません、それほども違う経験値となっています。そうすると、どうも人間というものは、見ていると、その人の全体像というのが比較的分かるようになってきました。もちろんまだまだ大した能力レベルでもないんですけども、少なくとも開業医だからこそ得られる力というのか、スタンスというのか、経験値というものがそういうものを培ったように思うこのごろです。しかし、だからこそ、やはり機会ごとに日々勉強しなければならないんですね、、。それは、医学以外の書籍などの勉強も重要であることを含めてです。

目に見えないものに本質は宿るというのかな、そういうのを洞察することが今後ますますレベルアップしていけば、人間社会でこの仕事をするには非常にいいんじゃないかなと、今さらながら思ったりしています。それは世渡りとかそういうことではなくてですね。実際私には、いわゆる世俗的な社交性(政治家や有名人のような)はありません。外交的人間ではありませんから。そもそも、、医者でparty peopleに類する性格というのは、あまりいないんじゃないかと思います。医師とは思慮するのが仕事のスタンスの要ですからね。

 

投稿者: 三本木クリニック

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