院長BLOG

2022.06.30更新

昨日水曜日午後は、エコテックさんによる床清掃とワックスかけをしていただきました。

また、いつやられたのか分からないのですが、当院駐車場のフェンスの破損の補修も専門業者さんにて行われました。

かれこれ開業14年目ともなると、知らないうちに壁や手すりやフェンスをどなたかの車によって壊されてしまうことが何度かありました。そのいずれも、どなたも申告されることなく終わっています。修理費用はかなりしますが、因果応報の法則というものがこの世界にはあることを理解して行動することが幸せな人生を送るためには必要だと思います。

エコテックさんの仕事はいつも気持ちよく、ありがたく思います。社会人はみないろいろな分野でプロとして仕事をされるのでしょうが、どんな分野でも上手い下手があるし、良し悪しがあります。他人の良い仕事ぶりを見るたびに、自分もそう思われるようにしよう、と思います。

クリニックの床や外構のメンテナンスもですが、自分自身のメンテも日々積み重ねで必要です。勉強会や資格維持もそうですし、ランニングなどのトレーニングもそうです。

患者さんを大病院に紹介したがうまく治療されることなく終わったケースでは、その後別の病院に紹介しなおしてきっちり治療したうえで、最初に紹介したところではどうして治療されずに終わってしまったのかを、表敬訪問の形で問い合わせ面談したり、、昨日はそれで豊田厚生病院のある科目の部長先生と相談してきました。地域医療の連携という意味で、安心して推薦できる紹介先病院と、時にはこのように相談の場を自ら提案し訪問することも、ひとつのメンテナンスとして今後に生きてくることだと思っています。

なんだかんだと水曜の午後は忙しく終わってしまいました。夜には勉強会もありましたからね、、。

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.30更新

昨夜は水曜の夜にも関わらずかなり大勢の参加者だった、勉強会に参加しました。

日進おりど病院を会場とした、慢性腎臓病に対する新しい薬にまつわる講演とディスカッションです。

新しい薬といっても、SGLT2阻害剤という、糖尿病ではすでに広く知られるようになった薬です。そもそもこの薬剤は大規模臨床試験において、大血管つまり脳や心臓の血管疾患を予防したり、腎臓病に延命効果をもたらしたり、心不全にも予後改善効果をもたらすなど、現代のメタボの患者さんには福音のような薬だと判明しています。

この薬剤は各社から数種類でていますが、現状では1社だけが、日本の保険適応では唯一慢性腎臓病に使用処方できることになったものです。保険収載作業を目ざとく早期から開始したメーカーの戦略といっていいでしょう。

この系の薬剤は基本的にはどのメーカーのものでも効能は同様ですので、この1社の製品でなくともSGLT2阻害剤ならば、糖尿病、心不全、腎臓病患者にとって、すべからく延命の恩恵にあやかれるというものです。

昨夜のフォーラムでは、「慢性腎臓病になっているかどうかを開業医がいかにして検出するか」ということがテーマに挙げられました。

大病院では腎臓内科はもちろん、糖尿病外来、泌尿器外来では当然のように毎回受診時に検尿を指示されるのですが、それ以外の科目となると毎回ということはない、ということと、開業医ではなおさらハードルが何故か高い、ということが問題となりました。

ただ、実際には、腎臓病がない、とされている人であっても、年一の特定健診さえ受けていればちゃんと検出できるので、実質的にはそれでスクリーニングとしては充分じゃないか、ということです。特定健診を毎年受ける、という意義がここでも証明されました。

そして、慢性腎臓病という漠然とした病名についての定義も今さらながら改めて示されて、それに合致した場合、どうするか、ということになるのですが、現実的には血液検査での腎機能が持続的に低下し続け、かつ蛋白尿や尿中の異常円柱が見つかった場合には、一度腎臓内科に受診する、ということのようです。とはいえ、そこからなにか新しい検査や治療がなされるかというと、またそれは別問題というのが現実ですので、開業医でもまずまずのところまでは、やれるわけです。

昔の医者に比べると、大学教授の先生も、ずいぶんと親しみやすい先生が増えてきました。病診連携の充実の根本には、意外にそういう要素が重要だったりすると私は思います。

大病院にせっかく紹介しても返事や結果報告をいただけないケースがときどきあります。まずはそういう欠落を埋めること、社会人として医師として当たり前のことがちゃんとできることから充実することが大事なのです。

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.27更新

結果的には登山というほどのものでもなかったのかもしれません、鳳来寺山ハイキングをしてきました。

新城は山深い地域なのでこの時期は雨が降りやすいのでしょう、鳳来寺までの石段1400段ほどを歩くうちは雨は降っていませんでしたが、いざ登山道を歩き始めたらだんだん雨が降り始め、激しくザアザアと、山頂は晴れていたとしてももともとぐるり360°すべて展望のない場所でした。

この山はもともと山岳修行のために、主として天台宗や真言宗といった密教系の修験者が住み着いていた歴史があるようです。

お寺までは車でナンチャラドライブウェイを利用すれば石段登りせずに行けるようです。そこから上は徒歩でしか登れません。

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苔むした石段をフウフウ言いながら登り、お寺の展望台兼休憩所を経て、登山道から山頂へ向かい、

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ご覧のとおり、猿投よりも眺望のない山頂です。標高は意外に猿投629Mとあまり変わらない高さ。

下山したら晴れました。以後はカンカン照りの夏日でした。

この週は愛知池のランニングがあまりできなかったので、この登山した昨日(日曜)は夜も息子とランニングしました。息子のペースは相変わらず一定の速さがあり、こっちは疲労もあり結構フウフウいいながらでしたが47分で回りました。

これでなんとか1週間に4回の運動となりました。今回の登山ではやや控えめに計算して2時間程度の運動と考えれば、まあ愛知池でいうとこの1週間は5回まわったようなものでしょう。

メタボ対策では週3回、30分以上の有酸素運動がまずはベースとなりますので、それ以上で初めてプラスの効果がでてくるのだと認識しなければなりません。

 

 

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.25更新

このところハイブリッド形式ながら研究会講演会が増えてきました。私は現地でなるべく聴講したい派なので、よほどでなければ現地開催されるものを選択して参加します。

昨夜も「糖尿病のトータルケアを考える」という会に参加してきました。

糖尿病といえば血管を障害させる疾患の代表ですが、ことに昨夜は、脳梗塞のことについて、基本的なことから最新の知見まで分かりやすく講義してくれた、ばんたね病院脳神経内科の伊藤教授の講演が一番印象に残りました。

ワレンベルグ症候群というのがあって、ずっと昔国家試験のころに覚えた名前だったのですが、延髄の一部が脳梗塞にやられると片側の口囲と手先のしびれ症状が出現する珍しい症状を呈するのですが、他にも顔の麻痺の出方で中枢性か末梢性か判別するにはおでこのシワを見ればいいとか、動眼神経がやられるとそれは中脳領域の障害を指し、その場合独特の目の他覚的症状を呈する、など、神経内科の面白さは根本はこういう診断学にあるんだったなあ、と思い出させるいろいろを改めて教わりました。

我々開業医では、細かい部位の診断までは必要なく、とにかく紹介すべき症例かどうかを判定することが重要で、それはどうしてかというと、実は脳梗塞でも早期発見早期治療するとしないとでは大きな違いがでる場合もあるためです。

その他にも、心筋梗塞や狭心症で血管カテーテル治療を受ける半数症例が糖尿病を持病に持つんだ、という話を群馬大学教授の石井先生がわざわざ群馬から名古屋に出向かれて講演されました。

コロナのことばかりがクローズアップされる昨今ですが、先生曰く、コロナ死者は日本ではこれまでのトータルで2万人ほどだったと。しかし心筋梗塞や脳梗塞で死亡するのは毎年毎年その何倍もあるんだ、ということで、生活習慣病である、高血圧、脂質異常、糖尿病の治療や予防対策が本当に大事なんだと。

6月から住民健診が始まっています。コロナの昨年やその前などは当院で検診を受けられる方が減っていた印象があります。1、2年なんとなく健診せずに済んでしまうと、その後も面倒だからイイワ、と、あっという間に5年ほど経過してしまうことはザラにあります。気が付けば進行がん、脳梗塞や心筋梗塞で、いきなり生命の危機や後遺症を背負わねばならないことになってしまいます。

大腸がんなどは検便だけでもかなり優秀に判別できるスクリーニングができます。胃がんについては、当院では最新の胃カメラに新調し、解像度が向上しております。また、これまで通り、経鼻内視鏡では最も細いタイプのものを採用しておりますので皆さん比較的楽に受けられています。

他院で毎年のようにバリウム検査をしていたのに進行食道がんになるまで見つからず、あっという間に薬石効なく亡くなられたという症例があったそうですが、食道がんは早期発見しなければ通常は治せない悪性度高い癌なのですが、これこそ胃カメラでないと早期発見できないジレンマがあります。ゆえにバリウム検査はあくまでも胃がん検診の目的のみなのです。食道がんも見つけたければ胃カメラしかありません。

まだ健診期間は始まったばかりなので、ぜひ胃カメラもエコーも含めた検診をうけましょう。当院では乳がん検診もエコーによって行うことができます。健診の本当の価値は70歳代後半から高まります。日本の平均寿命が90歳へ向かっている現代において、いろいろな寿命についての考え方はあろうかと思いますが、いま現在75歳だとして「あと2年後にこの世からおさらばする、というのもちょっとまだ惜しいなあ」と思うのならば健診をしておきましょう。

 

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.24更新

今年は第二弾の巣が早いです。第一弾がうまくいって第二弾へ連続するのは何年振りか、初めてくらいじゃないかと思います。そしたらもう抱卵しているんですよ。

随分やっつけ仕事風の巣なんですけれどね、、いろいろご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

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愛知池のホタルも行くたびに必ず何匹か見かけます。これからまだまだ増えてくると思います。

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.23更新

水曜日の午後はいろいろと雑用に充てるので、なんだかんだと時間がすぐに終わってしまいます。昨日などは中途半端な時間帯に自分自身の眼科受診などもあったりして、とうとうランニングをする時間がなく終わってしまいました。そして夜には日進おりど病院を会場として、愛知医大肝胆膵内科教授の米田先生による「メタボリックシンドロームとしてのNAFLD/NASH~糖脂質代謝の関与を含めて」という講演があったので出席してきました。

インスリンが内臓脂肪をふやす、脂肪肝を誘発する、という話はすでにメタボ疾患を扱う医師には既知のことですが、糖尿や脂質、脂肪肝といった代謝疾患というのはやはり互いに密接に関連があるわけですね。インスリンをなるべく少なく分泌させる省エネで済ませるためには、糖質をいきなりドーンと摂取するようなことをせずに、最初は野菜とかから食べるとか、満腹中枢に合わせたゆっくり食べをするとかの食べ方対応が重要です。食材でも低インスリン食を意識することも有効です。あと、糖尿病コントロールのためにインスリン投与をされている患者さんは、インスリンそのものを投与しているわけですから必然的に肥満になりやすいです。内臓脂肪ですね。ですので、インスリンはできるなら必要最低限の投与にとどめたいです。自分自身から分泌されるインスリンでない、外部からのインスリンでは、それに対する抗体を発生してしまって、インスリン自体が効果を発揮しなくなることも懸念されます。

NASHとかNAFLDとかいうのは、要するにアルコール摂取してないのになってしまう脂肪肝のことで、欧米ではとくにこの原因つまり過食による肝硬変がかなり肝不全の上位にあがってきているそうです。米国などはマクドナルドとポテトチップの国ですからね、、。

このNASH、治療法はどうか、という話が今回の講演の個人的なトピックで、地味に初めて知ったのですがビタミンEが長期的投与で有効だそうです。また、糖尿病の薬のうち、インスリン抵抗性患者さんに使うチアゾリジン系のものや、SGLT2阻害剤なども有効ということです。チアゾリジン系で注意すべきなのは、浮腫や体重増加のリスクがある点で、そういう意味ではSGLT2阻害剤は問題なく使えます。もう一つ、GLP1作動薬も糖尿病の薬ですが、それは注射剤が主となりますが、これの効き目で特記すべきことは食欲低下作用があることです。これはもう一番直接的な分かりやすい作用ですよね。

梅雨で雨がちな日々が続きますが、粛々と仕事や勉強や運動をしていかねばならない、と、運動をサボる日は反省して、また頑張ろう、と思いながらこの記事を書きました。

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.20更新

暑くなってきて、体は動かしやすくなってきますので、発汗する運動を少しずつ増やしていきましょう!

野球選手でも野手から投手へ転向する場合にはスタミナが重要だとのことで、つまりは走り込みをしなければならないそうです。

体力をつけるための運動というのには、筋トレだけでは絶対にダメであって、それなりに時間を費やしての有酸素運動を併用することが大事だと思います。

ことに、高血圧や脂質異常、糖尿病といった生活習慣病では、筋トレだけではかえって危険ですらあります。血圧が上がりますからね。そういう場合には有酸素運動を主体にしてから、筋トレを追加する、というのが本来の順番です。

生活習慣病の患者さんでも、「運動始めました」といって、それは良いことなんだけれども、訊けば「筋トレ」というんですね、、。それだけではやはり危険です。くどいようですが、これからの季節、とくに、脱水にも注意しながら、有酸素運動を主体にすることのほうが重要です。

夜、愛知池を走っていると、ホタルがちらほら見えます。本当にかわいいです。

ホタルといえば、昨日ドライブとして1時間ほどかけて行ってみた、鳳来寺山のふもとではナンチャラ自然博物館というのがあって、時間が遅かったので入館はしなかったのですが、そこの看板ではゲンジボタルが生息しているとのことでした。夕方だったので、登山を終えた人たちが大勢おりてきていました。寺へ続く石段を長々と登って、そこからさらに山頂へ登山道があるようです。今度チャレンジしてみようと思いました。鳳来寺山の有料道路?からだと比較的すぐに山頂まで行けるようですが、せっかくなら下からじっくり登りたいところです。往復4時間半とかかかるそうですので、山頂の標高は猿投山と大差ないのですが、猿投よりは往復の時間は長くかかりそうです。

日曜日は父の日で、かねてから子供らに請求していたので何かしらをもらえました。自分で請求しておいて言うのもナンですが、ありがたいことです。世のお父さん方も、お子さんにあえて要求してささやかなメッセージとか安くても良いのでちょっとしたプレゼントをもらうのも良いことだと思いますよ。自分の価値というものは、自分でアピールしないと。そういう時代でもあると思いますよ。

 

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.19更新

先月5月はめまいや頭痛の患者さんが目立った印象がありました。

めまいや頭痛というと、水毒という病態を考慮し、漢方なら五苓散を処方するのですが、それでも効かない症例があって、何だろうかと思ったら、どうやら肩こりなんですよ。

後頚部には椎骨動脈系が通っていますから、小脳や内耳などへ血流が行くわけで、そこが肩こりで締め付けられると、頭痛、めまいに発展することがあるわけです。

ヒドイと歯痛や三叉神経痛にも関わってくるらしいです。らしい、というのは、ときどきお世話になっている整体の先生の話の受け売りだからです。

私自身も、鎮痛剤やシップではなかなか治らない微妙な頭痛が近い過去にあって、それが実は後頚部のコリが原因だったので、ツボ押しマッサージで一発解消しました。それは結果的に判明したのです。治療してみたら治ったというやつです。

そういう意識で6月はいろいろな患者さんの肩こりをチェックしてみたところ、かなり皆さん肩こりがありますね。とくに女性が多いですね。片頭痛かなと思ったら、それももしかして筋緊張型頭痛つまり肩こり頭痛も有り得るかもしれませんよ。

 

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.19更新

このところ愛知池を夜歩いていると、ホタルが姿を見せることが徐々に増えてきました。

三本木川のように一極集中というのは全然ないんですが、愛知池も立派にホタルがいます。

それで、フワフワと優雅に小さい光を発して飛ぶので、ふわっとつかんだら手のひらに乗って、診てみると6ミリくらいの体長。ホタルって、飛んでいても羽音が全然しないんですよね、それが良いところ。で、すぐにまた飛び去っていきました。

池歩きがそろそろ一周終わり頃になって、もうちょっと、最後にホタルいないかなあと思って、「ホタルちゃん、来ておくれー」、と声を掛けたら、5メートルほど先でぴかっと光ってくれました。

完全に呼びかけに応じてくれた感がありました。

昨年は本当にホタルたちには励まされました。本当にありがとう。昨年はこの時期から11月初めまでホタルを見ることができた愛知池です。愛知池のホタルの話はネットで検索しても私以外話題にしていないようですが、ちゃんといます。今年もありがたい気持ちを毎度思い起こさせてくれることでしょう。感謝です。

投稿者: 三本木クリニック

2022.06.17更新

昨晩はひさびさに漢方のセミナーがあって参加してきました。

心療内科、精神科における漢方、というテーマで、かなり漢方に精通された精神科医による講演でした。仁愛診療所の楠木将人先生という方です。

印象に残った点としては、急性ストレス反応、中間期、慢性期、といった時系列によって使用する漢方が異なってくる、という話。急にバタバタとノルマやスケジュールが忙しくて、心が落ち着かない、イライラする、不眠、といった向きには抑肝散、それが慢性化しつつある状態なら抑肝散加陳皮半夏、さらに慢性化しきってしまって、食事までとれず痩せて血虚の状態に進行したならば柴胡加竜骨牡蠣湯、というように、その患者さんがどういう状態にあるのかに応じて処方する、ということでした。

具体的症例提示では、一見状況的にはうつ病かうつ状態と思われるような適応障害であっても、実はよく見極めてみれば、うつではない、ということがあって、いわゆる抗鬱剤でなく、漢方を駆使して、一時は希死念慮状態までいってしまった患者さんが、なんとか漢方だけで寛解状態となったという症例が紹介されていました。精神科医が漢方だけで精神疾患を治癒せしめるというのは相当な熟練者でないと難しいと思うのですが、この先生は凄いですね。

また、ストレスや精神状態の疲弊が蓄積すると、胃腸機能も低下し飲食ができなくなり、気虚や血虚となることから、それに対する処方として六君子湯や補中益気湯が紹介されていました。いずれも補気剤ですが、補中益気湯は医王湯とも別名言われる処方であって、短期的にはすぐには効かないけれど、月単位で服用していると全体において良い効果が得られるという薬です。私もこのあたりの処方は好んで処方しています。

他にも、いまの言い方でいうとフレイルの状態、いってみれば衰弱傾向の状態に使用する人参養栄湯についても解説くださいました。

漢方のセミナーは毎回非常に奥行があり、一種哲学的でもあり、大変に勉強になります。今後の診療にまた生かしていきたいと思います。

楠木先生のコメントによれば、今回紹介された漢方の特徴を一言でいうと、

四物湯は補血の基本。

六君子湯は、体を温め上部消化管を改善。

補中益気湯は、気疲れ、気苦労で低下した機能を持ち上げる薬。

人参養栄湯は、フレイル(本質は異化のほうが勝ってしまっている状態)の薬。

ということになるそうです。

この先生もそうですが、世の中を知れば知るほどに、賢い人というのは、世の中には本当にたくさんおられるものだと、我が身を振り返って比較するに、嘆息する私です。

追記。楠木先生の、今回の講演で示された、漢方治療の原則を記しておきます。

1.漢方で内因性精神疾患の根本治療は行わない。

2.西洋薬との併用を厭わない。

3.脾胃を高める。

の3点です。1は、メジャーな精神疾患については確立された治療法治療薬があるので、漢方を主とはしない、という意味です。3は、消化機能、内臓を良くする、ということが心身の健康のために重要であり、そのために漢方は有益なのだ、ということです。この場合の脾とはいまでいうところの膵臓を意味します。

 

投稿者: 三本木クリニック

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