昨夜は金曜の夜ということもあり、今週はなかなか処置や手術治療、各種業者との打ち合わせや対応など、いろいろ忙しかったことと相まって、かなりヘトヘト状態でしたが、そんな中、かねてから約束していた会合に参加しました。糖尿病治療薬であるSGLT2阻害剤の当院における使用状況とその効果成績に関する報告発表ということで、名古屋市内で行いました。
当院のデータによれば、SGLT2阻害剤によって、一番効果が大きいのは、比較的高齢者、で、メタボ体型の患者さん、だということが判明しました。若い人だと空腹感に敏感なために糖尿病治療薬により逃がしたカロリーを自ら摂取しなおしてチャラにしてしまうことがあるようですので、若い人の場合には、相当の肥満体型の患者さんには有効だと思いますが、中肉中背となると劇的効果期待するのは難しいかもしれません。これはこの薬に関する知見としてはかなり新しい発見です。
それから、糖尿病の薬でありながら、すべての年齢層を通して共通して有意差がでたのは、脂肪肝、肝機能の改善が認められたことです。すなわち、AST,ALTといった数値が一様に有意に低下改善しました。以前からこの薬は脂肪肝に有効であることが指摘されていますが、当院の症例でもそれが再確認されたことになります。いってみれば、内臓脂肪の軽減効果がある、ということです。
そしてさらに、中性脂肪の軽減についても期待してデータを取ったのですが、中性脂肪は採血時における食事の影響(食後か食前か、など)を受けやすく変動幅が大きいためか、有意な低下改善効果は認められませんでした。
中性脂肪の改善に関しては、それ専用の治療薬が普通にあって、その治療薬についての検討は今回はしておりませんが、現在、中性脂肪治療薬で腎臓への負担副作用が少ないとされる新しい薬が数年前からでており、それはすでに当院でも数多く処方しておりますので、それによる治療効果の統計学的検討も来年あたりに実施してみたいと思います。
このように、開業医であっても、多数ある症例数をもってすれば、研究活動も普通に行えるのだということを、私自身が実際にやることで証明しているわけです。