昨夜は日進おりど病院で開催された循環器糖尿病フォーラムという研修会に参加しました。
藤田医科大病院の准教授先生による講演で、心疾患のリスク低減を目指した糖尿病治療薬の選択に関するお話でした。
こじんまりした会ではありましたがそれなりに得るものはありました。
抜粋メモから、、
健常人の心筋梗塞や脳卒中の発症率は千人に一人といったところだが、糖尿病を持病にもつとその5倍となる。
糖尿病の程度を示すヘモグロビンA1cの数値が高いのがリスクを呼ぶのは当然ではあるが、意外に若い人のほうが死亡率が高い。
糖尿病があると心房細動発生リスクが高まる(喫煙や高脂血症などの原因理由ももちろんリスクを高める)。
高齢者においては糖尿病をあまり厳格にコントロールしようとして強い治療をすると低血糖による死亡率が上昇する。ただし、それはSU薬のような、低血糖リスクの高い薬を積極使用した場合の話ではあるが。
低血糖は致命的な疾患症状であって、例えば不整脈の見地からいっても、QT延長、除脈化、心室期外収縮などの頻度リスクが上昇する。(このことについては低血糖のお話として以前私のブログでも説明したことに関連しています。循環器の専門医からもこのような確証が得られたわけです)
最近、エースとして出現してきたSGLT2阻害剤はEMPA REG OUTCOMEという臨床試験結果によれば、(以前このブログでも紹介しましたが)心臓や脳血管など大血管の致命的合併症リスクを有意に下げる唯一の糖尿病治療薬である。
またさらにそのSGLT2阻害剤は今回新しい知見として、心不全に対しても実はARBやβブロッカーと同等の治療効果があることが分かってきており、この薬剤が単なる血糖降下剤という意味だけではなく、心筋細胞の代謝にも有効に働くことを示唆する。当然ダイエット効果があるため、間接的な心臓保護作用というのもありますね。
ざっとこのようなことですが、他にもこまごまと知見がアップデートされました。今後の臨床に生かしたいです。