昨夜、水曜の夜でしたが、日進おりど病院で開催された、東名古屋医師会主催の、睡眠時無呼吸症候群についての勉強会に参加してきました。
藤田医科大学の准教授の先生による講演です。
日本では、肥満というものが、昭和の時代までは、それほど症例数が多くなかったのか、分かりませんが、米国ではもう昭和の時代から睡眠時無呼吸症候群という病気を発見されていて、それに対する治療も検討されていたそうです。
日本でも平成の時代からはいよいよ肥満だとかメタボだとかそういう概念が広く認知定着するようになり、肥満に伴い出てくる、睡眠時無呼吸症候群の治療が広まるようになりました。
肥満患者では、当然ながら高血圧、高脂血症、糖尿病という生活習慣病がつきものですが、この睡眠時無呼吸症候群も同様です。単純にノドから頚部へかけての肥満により、気道閉塞を来たす、という単純な機序です。やせた人でもアゴが短い人などでは気道狭窄のリスクがあります。肥満患者だけではない、ということです。さらに、こういう気道狭窄パターン以外でも、中枢性の呼吸リズム障害、睡眠との関連、によっても睡眠時無呼吸症候群は発生します。
そして睡眠時無呼吸症候群の患者さんの場合、このことによりまた高血圧や糖尿病といった疾患が悪化するという、悪い連携関係があります。
治療には大まかにいって2つあり、1つは、扁桃肥大や鼻腔に腫瘍などがある場合には、それらを摘除する手術をする、というもの。もう1つは、これが一番一般的なのですが、呼吸補助装置を毎日装着するものです。この治療は我々開業医でもいまはふつうに患者さんに提供管理できるようになっています。
さて、この睡眠時無呼吸症候群の診断方法はというと、睡眠の状態を把握することによります。当院では病院に紹介して専門医による分析をしてもらい、実際に要治療となったならば、その呼吸補助装置の導入開始をしてもらいます。この機械は患者さんごとに仕様の設定が必要なので、専門医に導入を任せたほうが良いと思います。
最近では開業医のほうでも簡易検査によってこの治療の導入ができるようになっているようですが、問題が少しあって、一つには上述のように、細かい設定が専門医でないと難しいかもしれないという点、もう一つには、簡易検査では相当に重症の結果がでないと治療の導入が許可されないことと、さらにもう一つには、そもそもの診断として、簡易検査ですので、脳波や体位といった、簡易検査では測定できない要素が省略されているために完全な診断ができない点です。
かなりの重症でなくとも正しい診断がなされれば要治療となるのですが、それが簡易自宅検査では見落とされることがある、というわけです。
他院の開業医ではこの簡易検査で導入の可否を検査するところもあるようですが、当院ではやはり専門外のことについてはちゃんと専門医にお願いする、というスタンスをとっていまして、今回の講演を聴いてからもやはりその方針でいこう、と思いました。
ちなみに、睡眠時無呼吸症候群の診断、それも重症である、と診断されても、「過去に扁桃摘出して終わってるから」という患者さんの自己判断で、呼吸補助治療を拒否されるケースもありますが、それは脳血管障害や心筋梗塞といった重篤な合併症、ひいては突然死に至る可能性を放置する、ということになりますので、そこは自己判断ではなく医師の推奨にしたがうほうが安心だと思います。
今後もこういった勉強会の知恵を現場の臨床に生かしていきます。