院長BLOG

2022.06.30更新

昨夜は水曜の夜にも関わらずかなり大勢の参加者だった、勉強会に参加しました。

日進おりど病院を会場とした、慢性腎臓病に対する新しい薬にまつわる講演とディスカッションです。

新しい薬といっても、SGLT2阻害剤という、糖尿病ではすでに広く知られるようになった薬です。そもそもこの薬剤は大規模臨床試験において、大血管つまり脳や心臓の血管疾患を予防したり、腎臓病に延命効果をもたらしたり、心不全にも予後改善効果をもたらすなど、現代のメタボの患者さんには福音のような薬だと判明しています。

この薬剤は各社から数種類でていますが、現状では1社だけが、日本の保険適応では唯一慢性腎臓病に使用処方できることになったものです。保険収載作業を目ざとく早期から開始したメーカーの戦略といっていいでしょう。

この系の薬剤は基本的にはどのメーカーのものでも効能は同様ですので、この1社の製品でなくともSGLT2阻害剤ならば、糖尿病、心不全、腎臓病患者にとって、すべからく延命の恩恵にあやかれるというものです。

昨夜のフォーラムでは、「慢性腎臓病になっているかどうかを開業医がいかにして検出するか」ということがテーマに挙げられました。

大病院では腎臓内科はもちろん、糖尿病外来、泌尿器外来では当然のように毎回受診時に検尿を指示されるのですが、それ以外の科目となると毎回ということはない、ということと、開業医ではなおさらハードルが何故か高い、ということが問題となりました。

ただ、実際には、腎臓病がない、とされている人であっても、年一の特定健診さえ受けていればちゃんと検出できるので、実質的にはそれでスクリーニングとしては充分じゃないか、ということです。特定健診を毎年受ける、という意義がここでも証明されました。

そして、慢性腎臓病という漠然とした病名についての定義も今さらながら改めて示されて、それに合致した場合、どうするか、ということになるのですが、現実的には血液検査での腎機能が持続的に低下し続け、かつ蛋白尿や尿中の異常円柱が見つかった場合には、一度腎臓内科に受診する、ということのようです。とはいえ、そこからなにか新しい検査や治療がなされるかというと、またそれは別問題というのが現実ですので、開業医でもまずまずのところまでは、やれるわけです。

昔の医者に比べると、大学教授の先生も、ずいぶんと親しみやすい先生が増えてきました。病診連携の充実の根本には、意外にそういう要素が重要だったりすると私は思います。

大病院にせっかく紹介しても返事や結果報告をいただけないケースがときどきあります。まずはそういう欠落を埋めること、社会人として医師として当たり前のことがちゃんとできることから充実することが大事なのです。

投稿者: 三本木クリニック

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