院長BLOG

2022.04.22更新

昨夜はウェブ形式でしたが、1時間半の講演を受講しました。

小児救急救命蘇生に関する講演と、食物アレルギーの新規約に関する講演です。

前者については、我々地域医療診療所において、乳幼児が急変したときに実際にどういう救命をするのか、ということについて、現在進行中の教育実習プロジェクトの紹介を交えながら、解説をしていただきました。

後者については、2021年に食物アレルギー診療ガイドラインが改訂となったことをベースにして、その変更点や、一般臨床でよくみられる疾患など各論についても網羅的に講演していただきました。

食物アレルギーについては、私のブログでもずっと以前に記述したことがありますが、少なくとも親御さんがその発生を予防することができることとして、皮膚湿疹の治療をちゃんと行なってあげることが非常に重要です。乳幼児期の皮膚炎、湿疹、アトピーにより、皮膚のバリア機能が正常に機能しないと、患部からアレルゲンが侵入感作し、食べたことのない食物にたいして事前にアレルギー抗体を作成させてしまうことになります。乳幼児の場合、米や小麦、卵、といった、食物の基礎となるものに感作されてしまうことになるので、その後の人生に大きな影響を与えます。

食物と関係ないように思われる花粉症も、実はアレルギーの関連疾患として重要な要因となっており、たとえば、花粉アレルゲンと、果物や野菜のタンパク質アレルゲンとが免疫構造的に類似しているために、口腔アレルギー症候群を来たしてしまうということはいろいろな組み合わせであるそうです。たとえば、花粉症があるとトマトを生食したときに口腔内アレルギ症状になるとか、「花粉ナビ」というサイトに具体例が紹介されているそうです。大抵は口腔内症状だけで終わるのですが、豆乳だけはハンノキの花粉症を有する人にとっては全身症状を引き起こすそうです。

花粉症と別ですが、たとえば生焼けの豚肉を食べて数時間後たってからじんましんがでる場合、ネコアレルギーが原因ということがあるそうです(ポークキャット症候群)。他にも、牛肉たべて3時間後にじんましんがでた、という例では、マダニに対する抗体を持っている場合があるようです。これは例えば犬を飼っていて、散歩で犬がマダニに食いつかれて、それが自宅で飼い主にも、ということや、動物を飼っていなくとも、野外活動でマダニに感作されて、ということもあるでしょう。生卵でじんましんがでる、というのではセキセイインコの血清アルブミンタンパクによる原因ケースもあるそうです(バードエッグ症候群)。納豆食後翌朝じんましんとかでは、マリンスポーツや海水浴などでクラゲにさされたことがある人に発生した抗クラゲ抗体による交差性によるものだとか、いろいろあるんですね。これらは成人になってからでも当然なり得るわけで、やはり外的要因に注意することや、皮膚のバリアを整えておくことは常に重要だということです。

主婦湿疹などは、主婦でなくとも昨今のコロナ対策でアルコール消毒をする習慣などで手の皮膚バリアが破たんすることにより誰でも発症しうる皮膚疾患です。これを放置することは、いままでは問題なかったアレルゲンを新たに発生させてしまう要因になるので、大人だから関係ない、ということは一切ないのです。茶のしずく石鹸事件(小麦アレルギーを誘発した)は、このパターンに該当します。

小児の食物アレルギーを適切に診断し治療する場合、血液検査が必ずしもすべてではなく、血液検査では問題ありとなっている食材でも実は経口摂取試験をやってみたら大丈夫だったということもあるようです。たとえば湿疹やアトピー皮膚炎が悪い状態で採血した場合には、実際よりも過剰にアレルゲン陽性という結果がでてしまうことがあるので、一時的な採血結果だけですべてその要因を回避すると決めつけるのも短絡的である、という話もありました。

このあたりの対応はケースバイケースの面があるので、一概には言えませんので、それぞれのケースで対応すべきかと思いました。小麦グルテンアレルギーの子に毎日少量ずつのうどんを食べさせる治療法では、治療を続けているうちは感作性が軽減するが、しばらく安心して中断してしまうとまた感作性が再燃してしまうこともあるということで、こういう根性的な減感作治療が必ずしも有意義でないこともあることを示唆しています。

その一方で、上述したように、あまりにも短絡的にリスク回避しすぎるのも考え物であって、生ものはまず止しておこう、というくらいのスタンスで、ある程度は免疫的寛容に期待する、という手法も普通にありだと解説されていました。

物事はすべて、バランスが大事です。そして重要なルールや法則もあります。そのあたりを上手にとりいれて対応する、ということが最も賢いと思います。そして、治療すべきことは治療しておいて、無用なリスクを増長させることは決してしないこと。それは親御さんの義務だと思います。

 

投稿者: 三本木クリニック

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