院長BLOG

2022.01.22更新

昨晩は金曜の夜ということで、1週間の疲れもありましたが、幸いコロナ第6波で患者さんは少なかったので、体力に余裕がある状態での講演会参加してきました。

公立陶生病院循環器内科部長の神原先生と愛知医科大学循環器内科教授の天野先生による2題の講演でした。

1題めでは、ガイドラインをふまえて、高尿酸血症・痛風治療はどうあるべきか、という内容での講演でした。

いまのガイドラインでは痛風症状がある高尿酸血症の場合、尿酸値が7以上だと尿酸を下げる薬の適応となります。無症状の場合、以前は8以上で治療介入対象となっていましたが、いまのガイドラインでは9以上、というようになっているようです。

尿酸が高い人というのは、もちろん飲食生活習慣、肥満のように、患者自身で改善できるものは是正するとしても、多くは体質性のものであり、たいていは薬物治療が必要となります。そして尿酸血液濃度の適正化をすることで、腎機能の改善効果が明らかとなっています。痛風発作を起こしたことのある高尿酸血症の場合には、正常値上限の7以下というだけではなく、6以下にしなければまた痛風が再燃しやすいことが分かっているのでガイドラインにはそのことが明記されています。治療薬としては古来のものから最新のものまで数種類ありますが、最新のものでは、従来の、肝臓で作られる尿酸の生成を抑制するという作用機序の薬ではなく、体質として腎臓からの尿酸排泄が機能障害を来たしているタイプの患者に有効な、排泄促進型のものがあります。これは従来の尿酸の薬では効かなかったタイプに有効となります。

 

2題めでは、Withコロナ時代における心疾患診療の最適化、脂質異常を含めた生活習慣改善の重要性、という内容でした。愛知医科大学病院の教授先生による講演でしたので、長久手市の市民の平均年齢についても言及されていました。長久手市は新しい若い世代の流入が多いということで、なんと平均年齢が40歳くらいだというんですね。それで、そういった特徴の長久手市で、重篤な心筋梗塞を起こして死亡してしまう、若い人が目立つのだそうです。従来、心筋梗塞というと高齢者の疾患という印象がありますが、それは確かにいまもそうなのではありますが、若年者の、たとえば40歳前後で発症するタイプの心筋梗塞というのは大体が非常にメタボ体型で、血圧とか脂質とかの治療を適正にしているにもかかわらず発症してしまい、なおかつ致死率が非常に高い、冠動脈の本幹が詰まってしまうケースが目立つようです。

欧米の大規模臨床試験では、「Lower, the better」と言われるように、コレステロールは低ければ低いほど心筋梗塞の発生率を抑える、という結果がでているのですが、日本においては欧米とは違って、単にLDLコレステロールを下げればいいということではなく、中性脂肪も下げるべしということがあって、なおかつ、一番重要なのは、欧米と日本の体質の違いとして、血管プラークの安定化が、日本人の場合では、ただ単にLDLを下げたからと言って達成できず、いきなり本幹レベルの太い冠動脈のプラークがはがれて突然重症心筋梗塞になりうるのだという点です。

その問題を解決するのが、EPAを併用服用すること、なのです。EPAは治療薬としては、その材料として、青魚のアブラ成分の抽出物からとれるわけですが、これが日本人の心筋梗塞の予防には大変重要というデータがでています。また、直近での報告として、こういった日本のデータをもとにして欧米でもこれまでは相手にされていなかったEPAの追加効果を確認する大規模試験が行われた結果、著明に心筋梗塞を抑制できたと発表されました。

ですので、Lower, the better、というだけでなく、冠動脈つまり細い動脈の内膜の安定化ということが、とくに若年者の重篤致死的な心筋梗塞の抑制には特に重要であって、高齢者も含めてこのEPAの活用がもっと望まれると思います。当院でもこのことは以前からブログでも記していることですし、できればスタチン製剤とEPAとの併用としたいところですが、昨今の患者さん心理はどうしても薬は増やしたくないというものがありますので、予防医療の難しさを日々感じております。ただ、データはデータとしてやはり信ぴょう性があるものは患者さんに反映させてあげないといけないということは、今回の勉強会でも再認識しました。

生活習慣病は薬物治療で他力本願的にどうしてもなりやすいところがありますが、本来はメタボ体型も改善させるべきであって、やっぱり運動が大事なんですけどね。

私もこの日は診療終わってすぐに名古屋市内に出向いて講演会に参加、帰宅して食事したら夜10時近くなってしまいましたが、修行としてのランニングは1時間かけて行いました。一人だけ自転車の人とすれ違ったなあ。こんな遅くに自転車で、と思いながら。夜10時過ぎると愛知池の照明はすべて消灯されるんですけどね。

投稿者: 三本木クリニック

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