今週は水曜木曜と連日勉強会に参加しました。
昨日の木曜は表記のとおり、腎不全に関する講演を聴いてきました。
時節がら、現地での参加者は数人で、あとはウェブでの参加者といった構成でしたが、行けばそれなりに得られるものはあるものです。
今回得たこととして重要だと思ったことは、まず、
1.糖尿病性腎症でもネフローゼの病態がある、こと。そして、腎症のステージがまだ早いうちであれば徹底した原疾患管理、肥満解消などを行えば、腎機能低下をストップさせることができる事例もある、ということ。
で、
2つめは、高血圧が腎不全の原因になっている場合には、タバコを吸っている場合には必ず禁煙をさせることと、高血圧の治療をより厳格にコントロールすることによって、腎不全の進行を遅らせることができる、そういう事例もある、ということ。
3つめは、腎不全の急激な悪化を招くのは、鉄欠乏などもろもろの原因による貧血状態が案外とトップ3の中に入ってくること。これはビッグデータから得られた知見だそうです。
赤血球の産生にはまず当然タンパク質が必要なのですが、まず赤芽球が脱核するまでに必要な要素が、腎臓からでるエリスロポエチンというホルモンです。また、脱核して赤血球らしくなってくる過程で必要なのがヘモグロビンを構成する鉄分、となります。
腎不全の患者さんでは、このいずれかかいずれもが低下していることが割と多いので、定期的に貧血のチェックと、その原因不足物質があれば補充することが、腎不全の進行を抑えることに有用というわけです。
腎臓は慢性腎不全で機能低下が持続すると、徐々にそのサイズも萎縮してきて、そうなると積極的な検査や治療ができなくなって、透析を待つばかり、ということになります。まずは我々のような開業医で、生活習慣病の管理、つまり、高血圧、脂質異常、尿酸、糖尿病、肥満、喫煙、といったいろいろ腎臓に悪さをする原因の治療コントロールをきっちりと行うということが重要で、それでもなお急激に腎機能が悪化する場合や蛋白尿が持続する場合には、専門医へ紹介する、ということが必要な対応となります。
メタボリックシンドロームというのは、たんなる肥満とか贅沢病だとか軽んじるような疾患ではなく、命に直結する疾患であるということを、コロナだどうだの言っているだけでなく、より一層こういう問題を身近に考えなければならないと思います。