院長BLOG

2021.10.21更新

当院で処方する糖尿病治療薬であるSGLT2阻害剤のなかで、一番処方症例数が多い製剤は現在38例に処方してあり、その症例数としては決して多いというほどではないけれど、糖尿病治療薬はかなり多くの種類があるなかで、比較的新しい薬剤としてはまあ当院レベルのクリニックとしてはそれなりかなと思います。他のメーカーの同効薬も処方している症例は別にありますが、今回はこの38例で検討してみました。

HbA1c(ヘモグロビンA1c)の、投与前平均値6.6で、投与後の平均値が6.3と、平均値で見ると軽度の低下となりますが、投与前値の平均値がひどくないレベルのためにこういう結果になったと思います。ただ、それでも統計学的に有意に低減効果が得られました。ちなみにこの薬剤によって、LDL、HDLコレステロール、TG(中性脂肪)への影響は統計学的には有意差はありませんでした。平均値も投与前後でほぼ同等でした。

この薬剤は内臓脂肪の低減に有用かと言われているので、脂肪肝の数値としてAST、ALT、γGTPを調べたところ、残念ながら有意差をもっての低減にはいたりませんでした。ALTとγGTPについては平均値が少し下がったので、今後症例数の蓄積によっては有意差も期待できると思います。

この系の薬剤では肥満の是正に有効といわれているのですが、投与後1年とかの短期ではそうであっても、2,3年経過の長期となるとどうかなという懸念がありましたので、短期と長期でのHbA1cの推移を比較してみましたところ、短期投与でも長期投与でも、数値の低減効果は有意に見られました。短期だと平均6.9から6.5への低下、長期だと平均6.5から6.3への低下、です。変化度としては軽微に見えますが、初期値がひどくないことからこうなりますが、それでも有意差がでております。

また、若年層と老年層とでは効き目の差異はどうか、ということで、おのおのの変化度を比較してみましたところ、老年層は6.6から6.3へ改善、若年層でも6.5から6.3へと改善しいずれも有意差ありでした。

投与前値があまり軽度の糖尿病だと効果が分かりにくいかもしれない、ということで、投与前HbA1cが7以上の症例に限定して検討したところ、前値7.6から後値6.4へと大きく改善していることが分かりました(p<0.001)。また、そういう事例においてはγGTPの前値62が後値38へとこれも有意に低下していました。つまり治療前の数値が悪ければ悪いほどに改善効果も大きい、ということになります。

 

前回示した中性脂肪の治療薬との併用で何か有意差があった項目はないかと検討しましたが、いわゆるメタボへの相乗効果というものは統計学的には認められず、あくまでも糖尿は糖尿の薬が有効で、中性脂肪の薬は中性脂肪の薬として有効、ということが各々判明した結果となっております。これらの組み合わせ処方によって、脂肪肝の数値が著明に改善した、ということではなかったようです。が、とくに中性脂肪の薬に関しては脂肪肝への効果も期待できそうだということでは今回の調査の意義の一つとして発見でした。

 

今回の検討でもやはり思ったことは、やはり数字と統計でしっかりと評価をする、ということは、当院のようなクリニックの症例にあっても大変大きな価値があるのだ、ということです。

今後の診療活動に生かしていきたいと思います。

 

投稿者: 三本木クリニック

  • まずはお気軽に
    当院へご相談ください
    内科/小児科/肛門科/外科/形成外科/皮膚科/美容
  • common_tel.png