院長BLOG

2021.09.11更新

昨夜は千葉大学内視鏡センターの先生による、潰瘍性大腸炎の講演を聴講しました。

以前日進おりど病院の藤田先生による講演で、5ASA製剤についての解説があって勉強になりましたが、今回はさらに、難治性の潰瘍性大腸炎に対する治療戦略とモニタリングの内容でした。

賢い先生の講演というのは、聞き手を飽きさせないというか、疲れさせないというか、最後まで興味を持たせるものだなあと、まずそこに感心しました。

それで内容としては、

治療薬のベースとしての順序について。

5ASA製剤から始まって、ステロイド、分子標的剤、さらに免疫抑制剤といった順にたいていは使用するのだと。そこへ最近では新しい分子標的剤(ただし高額)が出てきたりして、その序列がどうなるか、という話でした。

病態の重症度を診断するには一番は大腸内視鏡での確認ですが、そうそう頻回にできませんので、代用できる手段としては採血検査や検便検査といったものがあるということで、採血としてはCRPとか血小板の高値といったものが有用性が高く、CRPで5程度だとかなり重症となり、血小板だと25万以上か以下かで大体の判断ができることが多いそうです。もちろん症例により個人差があります。また、検便検査では通常の便潜血で判断する方法では炎症があるか無いか、という定性的な形となるけれど、便中の白血球を反映するカルプロテクチンは赤血球の便潜血よりも炎症評価を定量的に見ることができるということで有効性が高いようです。採血検査で炎症性腸疾患に特異的なマーカーとしてはLRG(ロイシンリッチα2グリコプロテイン)というのがあって、これは潰瘍性大腸炎でも有効ですが、どちらかというとクローン病に特異度が高いそうです。

意外に重要なのが、問診で、つまり臨床症状ですね。下痢と血便の程度によって、病変が下部大腸寄りなのか上部大腸寄りなのか、そしてその程度も推察できます。臨床医としてはここが一番肝心であって、そこから裏付けとしての数値的だったり画像的な検査で確認する、というのが正しいでしょう。

当院で潰瘍性大腸炎を診断することはまずありませんが、これからはどんどん症例数が増えてくる、これまでも徐々に増えてきたという経緯があるようですので、下痢や血便、腹痛、といった特徴的な症状を慢性的に発症する場合にはぜひ相談するようお勧めします。

潰瘍性大腸炎は大腸全摘しないことには完治とならない、内科的に安定したならばそれは完治でなく寛解となります。どのみち一生経過観察や治療をしていく疾患です。寛解とは英語ではremissionとかreliefとかいいますが、ややこしいのは、たとえばウイルス性肝炎の治療でウイルスの完全排除ができたことをSVR(sustained viralもしくはvirological response)と言いまして、これも日本語的には寛解といって良いと思うしRで略されているのですがこちらはresponseつまり反応という言葉が使われています。

投稿者: 三本木クリニック

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