院長BLOG

2021.07.16更新

他院に通院歴のある患者さんが当院に来られるとき、当該疾患に関する受診となれば、当然それまでの前医での処方内容の確認と、現状の余剰状態などを確認します。

すると、例えば、慢性疼痛疾患でもないのに、解熱鎮痛剤を大量にまとめて処方されていたり、厄介なのは、向精神薬がかなり余剰蓄積していたりすることが発覚します。

それも、最初からすべての薬の余剰状況を報告してくれるケースは稀なので、実際には何度か通院治療をしているうちに前医での処方が大量に余っていることが発覚します。

PPI(プロトンポンプインヒビター)という、胃潰瘍に対する強力な薬を含む胃薬を、前医が残余確認せず漫然と処方し、一方では患者が気まぐれに服用するという、医師と患者間のすれ違いのために、結果的に大量に余ってしまっているということもあります。

PPIはもともと、昭和の時代までは、胃潰瘍といえば手術で胃切除をしなければならなかったのを、平成の時代になってでてきた、このPPIや、その少し前からでてきた、ガスターなどで知られるH2ブロッカーの登場により、胃潰瘍で胃切除手術をする必要が激減することになったほどの、ものすごくありがたい薬です。

それが、いまでは逆流性食道炎の治療薬としても適応が拡大され、比較的気軽に処方できるようになってしまった結果、このような大量に余る、という現象が生じるわけです。

医者と患者間のディスコミュニケーションに問題があるし、医者も患者も、薬に対するリスペクトや畏怖の念、敬意というものが欠落しているからこういう結果が生まれるのです。

ちょっと薬に慣れてくると、通院が面倒だしお金もかかるから、一度にたくさん処方してほしい、と要望される患者さんは多くいますが、風邪なら風邪に必要な内容と日数、慢性疾患ならそれなりに日数処方、というように、疾患と状況によって、適切適正な処方というものがあります。当院では、服薬コンプライアンスやアドヒアランスがまともであることが確認されなければむやみな長期処方には応じませんし、患者さんの認知機能や病状、薬の内容によっては危険につき処方できないケースすらあります。

面倒くさい、鬱陶しい患者だから、と思って、そういう患者さんに対して、抗不安薬とか鎮痛剤とか眠剤とかを、患者の要求するままに処方する、ということは、医者側に重大な責任が発生する姿勢です。

正直なところ、精神科領域においては、向精神薬や下剤や鎮痛剤の類を大量に処方しつづけてしまうおろかなミスをしばしば犯していることがかなり高率に見られます。

向精神薬に限らず、すべての薬というものに対して、人類はもっと敬虔な気持ちで相対する必要があると私は思います。薬は長年の歴史で各々の薬1つ1つについて多大な研究と手間暇と費用を投じて生まれたものです。軽々しく扱うとバチがあたります。私はそう考えています。

だから、どんな薬であれ、それこそ漢方やビタミンのようなカジュアルな薬であれども、患者から「大量に余っている」という言葉を聞くと、私は怒りをおぼえます。それは患者の報告義務怠慢、服薬コンプライアンス意識の欠如、そして残薬確認を怠った医師に対しても、です。こういう意図的ともいってよい間違いを是正するために院外調剤薬局の意義があるのですが、それとて完璧ではありません。プライバシーの問題もあろうし、意識するしないに関わらず実際患者が実質的にはウソをつくこともありますから。

薬が症状や体に合わない、とか、つい飲み忘れてしまって、、とか、もともと要らなかった、とか、いろいろな理由で薬が余ってしまった場合には、正直にその理由を話していただきたい。また、薬が効かないから止めた、という患者さんには、本当に適正に服用をしたのか、という疑念もあって、そこは患者さんの実際には間違った思い込み(例えば、頓服のように使う薬でなく、毎日きっちりと服用することで奏功する薬なのに、気まぐれに頓服としてしか使っていなかったなど)を是正する必要もでてくることがあります。

本来、そういう服薬確認の作業というものは、処方をした医者本人が行うべきことですが、ドクターショッピングをする患者ではそれがうまくできないこともあります。しかし、医者の皆さんに言いたい。責任もって、適正な処方日数のみを処方するように、と。余剰がないかどうかの確認を怠らないことを。

 

私は医療至上主義ですから、薬を軽んじる人にはそれなりの態度で臨みますのでよろしくお願いします。

 

投稿者: 三本木クリニック

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