院長BLOG

2020.10.19更新

先週末土曜の夜は非常に興味深いセミナーに参加してきました。

島根大学医学部皮膚科講師の千貫先生による講演でした。

花粉とか食物とかアレルギーはいろいろ原因があるんでしょうが、たとえばじんましんに関して言えば、実に原因不明なケースが多い、というか、特定のアレルゲンが原因というのはほんの5%程度にしかすぎないというのですね。。そこまでとは思わなかった。

今回の講演会でいろいろ得た知識を下記に列挙すると、

たとえば小麦アレルギーでいうと、単に小麦のIgE RASTを調べても空振りに終わることが多くて、小麦グルテンとかω5グリアジンとか高分子量グルチニンを調べないと分からないとか。20歳以上で初発の小麦アレルギーの95%の患者にはω5グリアジンが陽性にでる、とか。

これは食物依存運動誘発性じんましんまたはアナフィラキシーの診断にも有効で、つまり小麦アレルギーの人で、ただ食べるだけだと発作を起こさないのに、運動をすると初めて誘発される、とか。

茶のしずく石鹸の事件については、マブタや鼻のじんましん症状が多いのは、その部位をその石鹸で洗いすぎたから皮膚経由で小麦由来の分子に感作したのだという。

花粉ー食物アレルギー症候群とは、たとえば、ハンノキ、シラカンバに対する花粉症がある場合、その抗原性が類似しているために、バラ科の果物であるリンゴとか、モモとかの食物を食べた際に、口腔内アレルギー症候群を引き起こすなどのことをいう。こういう症状を起こした際に、単純にリンゴとかモモとかのアレルゲンを検査しても陰性に終わることが多い。

ハンノキ、シラカンバは豆乳アレルギーにも関与する。そういう人に大豆のアレルゲンを検査しても陰性。もちろんスクラッチテストをすれば確実なのだがなかなかそういう検査は出来るところが少ない。なぜに豆乳アレルギーとハンノキシラカンバのアレルギーが交差するのかというと、糖鎖のGlym4というアレルゲンに陽性だからだと。

ちなみに口腔内アレルギー症候群のセルフチェック方法は、口ふくみテストといって、実際にその食物を口に含んでみる。と何か違和感チカチカするとかチリチリするとか感覚があれば陽性と判定する。生の食材がたいてい問題であって、加熱すると回避されることは多いという。

ヨモギアレルギーと香辛料スパイスアレルギーも交差の関係がある。

多くの食物アレルギーでは、吸入系アレルゲンである、ハンノキ、シラカンバ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、の6種類でほとんどの交差反応を推察できる。

この一覧表はサーモフィッシャーダイアグノシスというのに詳細が示されている。

 

春の花粉症の代表である、スギアレルギーは、何かに交差反応があるかというと、実はあまりなくて、せいぜい生のトマトが可能性としてあるのみだと。

 

牛豚といった4つ足動物に対する食物アレルギーについて。通常1型アレルギーというと即時性をイメージするが、この肉アレルギーの場合、食後3時間以上経過してから発症するじんましんやアナフィラキシーというのが特徴的。これは何故か。そもそもなぜ牛豚にアレルギーが?

この島根大学の先生の研究では、子持ちカレイに対するアレルギーと牛豚アレルギーとが交差関係にある、とそして抗がん剤の一種であるEGFR阻害剤のセツキシマブに対するアレルギー反応も同じ原因。それは何か。実はペット、たいていはワンちゃんに住みつく、野原に普通にいるマダニ。ここからヒトへマダニ咬症として感作。マダニの唾液に含まれる物質がアレルゲンとなる。すなわちマダニの唾液、牛豚肉、子持ちカレイ、セツキシマブ、いずれにも共通するアレルゲンはαGalという糖鎖だった。

この糖鎖はヒトの血液型でいうB型の要素を持っている人の場合には、もともと持っている要素なため、牛豚アレルギーは、仮にマダニに咬まれたりしても、アレルギーにならない。。アレルギーのリスクがあるのはA型とO型の血液型の人だけ。

マダニは吸血しないと1、2ミリの小さいものだが、吸血すると1cm弱にまで膨れ上がる。刺されても痛みはない。痛くならない物質が唾液に含まれているらしい。吸血すると静かに立ち去る。

豚アレルギーには他にも要素原因があって、例えばネコ。Pork cat 症候群という名前がある。豚を食べて30分後くらいに発症。生焼けの豚肉とかハム、ソーセージ。これも豚のアレルゲンそのものは陰性でもネコに陽性だと発症しうる交差関係による。

 

他にも貴重な話があったと思うのですが、全部はメモしきれなくて終わってしまいました。いずれにせよ学んだことは、直接的にアレルギー検査をしても陰性にでてしまうことが普通にあるのだということ、一見無関係なものでも共通するタンパク質成分があると、たとえば花粉症の成分のアレルギー原因物質が、全然関係ないように思える食物にアレルギー反応を呈してしまうことがあるのだということ。小麦アレルギーの症状があるのに小麦単体でのIgEテストをしても陰性になるのはこれらの説明で理解できる。また、同様の事象は他にもいろいろあり、知識が必要であること。

 

投稿者: 三本木クリニック

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