院長BLOG

2020.10.12更新

昔、昭和の時代までは公衆トイレは和式トイレしかなかったのが、平成も終わり、令和の今日ではサービスエリアでもほとんどが洋式便座になったように思いますが、住宅内にあるトイレというと通常は洋式トイレで、これに関しては昭和の時代からそうだったろうと思います。

通常は自宅で排便することが多いわけで、洋式トイレ。いまの若い子などは不慣れな和式トイレでは排便できないことでしょう。いまや公衆トイレでも洋式のほうが一般的になってきているということで、楽な姿勢である反面、昔の和式トイレに比べると、排便時の、体幹と大腿との角度というか屈曲度が浅くなっています。

排便をスムーズにするためには、直腸と肛門がなるべくストレートに、かつ地面に対して垂直方向の角度となるほうが良いわけで、そうなると、下腹部を圧迫する形になる、大腿をおなか側に拳上した格好での排泄が良い、となります。膝の高さを高くした姿勢、というと分かりやすいか。

洋式トイレの場合でも、膝の高さが15cmほど高くなるように、足置き台を置いて、太ももで下腹部を圧迫する形になって、直腸肛門の角度がまっすぐに近いようにすると排便がスムーズになる、ということで、実際にそういう姿勢にすることによる排便への効果を確認する臨床実験が行われたところ、平均して統計的に有意に、1.完全排便感の改善、2.いきみ程度の減弱、3.排便時間の短縮、という結果が得られたという報告があります(Modi.RM, et al:J Clin Gastroenterol. 2019,53:216-19)。

前回のブログでも記載しましたが、高血圧や循環器疾患に対する便秘の悪影響の度合いというのは実に大きくて、便秘であるというだけで、循環器系疾患(心臓、脳)による死亡リスクが高まります(Horikura K et al, Atherosclerosis 2016:246:251-6)。文献によれば、排便頻度が1日1回以上の正常群に比し、排便が2,3日おきだと、すべての循環器系疾患のハザードレシオが1.2倍に上昇し、4日に1回以下というひどい便秘の場合には1.39倍に統計的に有意に上昇します。そのうち、脳卒中に限定して抽出すると、2,3日おきの場合には1.29倍、4日おき以上の便秘の場合には1.9倍ものリスク上昇が認められました。

このように、便秘というのは、とくに高齢者においては、心臓血管系に重大な悪影響を及ぼす、ということで、いろいろな対策のうち、自分でもできることとして、和式の便器のときのような体勢で排便すると、直腸肛門角がストレートになるため排便がスムーズになるよ、そのためには洋式トイレの場合には足置き台を取り入れることで排便が改善するよ、という話、です。

 

投稿者: 三本木クリニック

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