院長BLOG

2019.10.21更新

今年も台風豪雨により長野や関東、東北などの広範囲の被害がありましたが、先週末は岡山県真備地区の復興の状態を見てきました。私の恩師が倉敷在住で、その親友夫妻が真備地区で見事自宅のリフォームをほぼ完了したのをお祝いに訪れたのです。

とはいえ、そのお宅は保険などの面で最も幸運な部類であって、他にはまだ廃墟のまま取り壊しの順番待ちという住宅も散見されるという状況。当時、高さ4メートル以上にまで浸水したしるしがあちこちに残されています。

古くから水害にさいなまれてきた歴史があるこの地区の理由は、一級河川の高梁川の一部と、その支流の多くが天井川ということによります。

長年の川の治水の歴史にあって、堤防をどんどん積み上げていく、そして川は川底に土砂が堆積して、それを取り除く浚渫(しゅんせつ)工事をしてこなかった経緯により、ほとんどの住宅地域の地盤の高さよりも、川面の高さのほうが高いという状態となり、そのことを天井川というふうにいうのですね。

となると、ひとたび堤防が決壊すると、住宅はすべて川の水位よりも低い位置に存在するために、あらかた水浸しになってしまうのです。これが、一部の地域というよりはかなりの広範囲でそうなっているのです。

大昔は田んぼばかりだったでしょうが、そこが、いまは街を形成しているのです。

今後またいつなんどき水害に遭うかも知れない、そして高齢の住民となると、こんな災害にあってしまったあとは、終活というものを真剣に考えるようになる、というのですね。

さらに年老いた超高齢の母親が病院にていつ死ぬかも分からない状況など、いろいろと深い憂いをもちながらも、日々を懸命に生きていることがよく分かりました。

若い世代の子や孫でもあればまた別ですが、少子高齢化の象徴とでもいうべき、そのお宅には子供さんがいないので、余計になんともいえないようです。でも頑張って生きがいをもって生きていらしてます。

私の恩師が実に1984年といういまから35年も前の時点で、高齢化社会における課題という論文を残しており、それがたまたま私が間借りした部屋の棚にあって、手書きで書かれたその論文は太い辞書2冊分もの分厚さという量でしたが、それによると、その時点ですでにいまある少子高齢化社会を予見して、その当時の寝たきり老人を各々たずねては調査し、という繰り返しによって、どういう傾向にあったのか、どういう経緯で寝たきりになったのか、ということを推察されたのですが、結果としては、寝たきりとなるには、その前に住まいを転居するようなことや、家族と分かれたり、また同居など、住む環境が変化することが契機になっている、という傾向があったということです。

もともと、在宅で終末期を迎えるという思想というか風習は日本に特徴的にあるということで、海外ではそうでもないというのですね。それは2世代3世代が同居していた農耕民族(漁業もそうでしょう)だった地質学的な背景があるとは思いますが、いずれにしてもそういう特徴があるのが日本というところですが、すでに核家族となり、また跡継ぎもいないということになると、35年前の慧眼は凄いものだと思いました。

それで対策はどうするのか。いま国は在宅医療を推進していますが、いかんせんマンパワーが不足しますし、家族がだれかいないと結局は無理です。私が担当している特別養護老人ホームなどは比較的安くて、かなり良い仕組みだとは思いますが、それとて入所者本人からしたら、満足というものでもないでしょう。

移動を強いられることが寝たきりを呼ぶ、ということは傾向として分かったとして、さて、ではどうしたら良いのか、ということについてはなかなか難しい問題だろうと思います。

災害と高齢化社会というのは、結構密接にからみあっているのだと、つくづく感じた週末の訪問でした。

投稿者: 三本木クリニック

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