院長BLOG

2019.09.29更新

昨日は土曜で、午後から2件の講演会に参加しました。

1つは医師会主催で、愛知医大消化管内科教授の春日井先生による、便秘についての治療戦略に関するもの。

春日井先生の講義は以前にも一度聴講したことがありましたが、今回も参加し、復習と、新しい知見を得るのと両方でした。いま、便秘治療薬も優秀なものがだいぶいろいろ出てきており、古くからある、酸化マグネシウムとか、コーラック的なアンスラサイクリン系のものだけでなく、副作用や依存性や腸管麻痺や電解質異常などのリスクのない、より良いものが4,5種類でています。これらの使い分けが難しいところですが、基本的にその薬ならではの特性や効果発現までの時間などが分かっているので、その特性と患者さんの状態とを照らし合わせて処方を決めるということです。当院ではすべての便秘治療薬を処方取扱いしております。今回、各種下剤についてのより具体的詳細な特性を学びました。今後の診療に役立てていきます。

 

2つめはツムラ漢方のセミナーではおなじみの、大阪の千福先生の講演です。千福先生の講演を聴講するのは3度目かと思いますが、毎回毎回、非常に完成度が高く、学ぶのが楽しいと思う、稀な授業をしてくださる偉大な先生です。もちろん非常に優れた臨床医であることは想像に難くないことです。人気予備校の講師の先生の授業というのは、こういう授業なのかなあと、私は予備校は知らないですし、塾も殆ど行ったことがないので分かりませんが、そう想像してしまいます。

今回は、困ったときに役立つ漢方、そして高齢者に用いる漢方、というテーマでした。たくさんの種類の漢方をつらつらと説明するのではなく、優れた漢方を選りすぐって、実際の臨床例を提示しながら、かつ基礎医学や漢方の歴史や組成などにも話を展開しつつ解説されました。

今回でてきた漢方は、芍薬甘草湯、五苓散、苓桂朮甘湯、四物湯、甘麦大ソウ湯、人参湯、小建中湯、十全大補湯、人参養栄湯、防已黄耆湯、桂枝加朮附湯、麻杏ヨク甘湯、です。

どれも有名な漢方ですが、個人的には四物湯、甘麦大ソウ湯、桂枝加朮附湯、麻杏ヨク甘湯については、あまり処方することがありませんでした。今回それらについても詳細にレクチャーしていただきましたので、テキストを復習して、実践に生かしていきたいと思います。

漢方薬は、一般的西洋医療の隙間を埋める非常に素晴らしい薬です。西洋薬も尊敬に値するものですが、生薬を組み合わせることで、非常に有効な、かつ、西洋薬には治療薬がない分野(これが結構多いのですが)にも適応がある薬がたくさんあるのが漢方の優れた点であり、漢方薬そのものと、それを現代まで連綿と伝えてきた古人の知性に尊敬の念を覚えるのです。また、漢方薬メーカーにも、そしてそれを保険診療に適用させてくれた偉い先生方にも感謝しなければなりません。漢方薬は何せ安価で、そういう良心的な面においても尊敬に値するのです。

私は医療至上主義者で、そして薬というものを尊敬しています。自分が病気になったとき、それをすっと治せる薬というのは本当にありがたいことです。いつも健康で病気知らずの人は結構なことですが、病気の辛さは分かりませんね。そしてそういう人でも誰でも病気にはなります。そういう時に初めて、医療や薬、手術もそうですが、ありがたみを実感するのです。私はまだまだキリがない勉強をもっとしなければならない未熟者ですが、なるべく100%の患者さんに対して、良く効く治療、安全な治療を提供できるようにしたいと心底望んでいます。自分は全くもって博愛主義者などでは決してありませんが、当院にわざわざ頼って来られる患者さん全員に、当院での治療はもちろん、適切な病院へ紹介するなどして速やかに快適な状態になってもらいたいと強欲に思っています。もちろん何事もバランスが大事であることは言うまでもありませんけれど。自分が関わるより専門家にゆだねた方が絶対に良いような、私の手におえない症例はあっさり白旗を揚げますから。

漢方を勉強するようになってから、一般診療で本当に困らなくなりました。漢方はツムラのエキス剤だけでも100種類以上あって、たとえば一般的な西洋医療で対応が困難な、病名がつかないような病態があるとしても、自分が漢方を勉強しさえすれば、どれかは患者さんに合う薬があるはずです。それをなるべく的確に見つけてあげるようになることは、ジェネラリストとしては必須のようにさえ思います。まだまだ勉強しなければならないですが、幸いツムラさんは勉強会を比較的多く開いてくれますので、ありがたいです。

厚労省はこういう勉強会や講演会を宣伝過剰だとして徐々に製薬メーカーに自粛するように推奨してきているようです。もしかしたら余計な経費を出したくないメーカーの思惑もあるかもしれません。しかし、年に一度の学会程度では勉強の機会としては甚だ少ないし、日進月歩についていけません。ウソや我田引水が過ぎる宣伝は論外ですが、適正な情報提供や勉強会や講演会は絶対に必要だと、実地医家としては切に願い思います。

投稿者: 三本木クリニック

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