院長BLOG

2019.08.30更新

主婦仕事などで手が荒れてしまった場合の治療については、基本的に外用療法が第一選択となるのは当然ですが、そうはいっても、たとえば手のひら側がボロボロになったり、指先のあちこちで亀裂が入ってしまうほどの皮膚の炎症や損傷に対しては、なかなか外用療法だけでは難しいことがあります。

手のひら側に病変がある場合、外用を塗るにしても何か作業をするのにべたつくのと、作業後に手洗いをすることが多い人だからこその病状なので、その習慣があるかぎり、なかなか塗る作業ですべて治そう、といっても限界があるでしょう。

福島県の竹田綜合病院皮膚科の岸本先生の著書によると、アトピー皮膚炎の一環としての手荒れにおいて、短期的ステロイド内服、抗ヒスタミン剤内服、そして外用療法で開始し、以後外用で、もしくは抗アレルギー剤の内服は継続、というように治療した症例が紹介されています。

実は岸本先生は著書で、質問があれば受付ける、と記されていたので、先日いろいろ臨床的な質問を送ったのですが、それに対する回答をひととおり、おおまかではありますがいただけました。著書はいまから数年前、のものですので、最新の治療方針とは多少違いがあるようで、現在は手荒れには内服治療は必要ないという回答でした。

おそらく先生の高名が衆知のものとなり、非常にまじめに治療をする患者さんのみが淘汰されて残り、結果的に純粋に外用療法だけで事足りるようになったからではないかと推察しています。

となると町医者はどうするか。もちろん外用療法を主体とするのは良しとして、そうはいってもなかなか、という面もありますから、やはりひどい手皮膚炎の場合には、短期ステロイド内服治療+内服抗ヒスタミン+外用療法、とするのが一番良いように思います。というのも、手荒れに短期的にせよ最初からステロイド内服治療をするということはこれまでの私の選択肢にはなかったのを、岸本先生の著書を参考にして思い切って実践したところ、確かにうまくいくなあという印象をもったからです。とにかくいったん状態を一気に良い状態にさせてやって、皮膚のバリアを修復することを第一に行ない、以後は外用でフォローすればいい、という、やりかたです。

もちろん軽症の場合には外用療法だけで開始します。このような二頭立ての治療法があれば、たいていのものにはうまくいくようです。

手荒れはアレルギー機序が関与していますが、アトピー皮膚炎についてもやはり外用主体で、かつ内服、ということには違いはないと私は考えていて、しかし岸本先生との手紙のやりとりによれば、下手な非専門医が手を出さずに、大学病院などへ送れば良いと言われましたが、それは大学病院がパンクしてしまうことになるでしょう。なにより、患者さんの労力、利便性と疾患の重症度とのバランスを考慮すると、それは極端なように思います。アトピーの初診の診察で2、3時間を費やすというポリシーの岸本先生ですが、あれ?著書では1時間と記述されていた(それでも長い)が、、さらに伸びたのかなと。一人の初診患者さんに2,3時間を費やすと、その人一人で診療時間は終わってしまいます。私は思うには、何事も極端では社会が成り立たないと思います。大学病院クラスの専門予約枠があってのものなら良いでしょうが、それにしてもすぐに枠が尽きてしまうことでしょう。

すばらしく優秀な先生であっても、生身の人間ですから、あまりきつすぎる勤務、仕事のやり方は、結果的にすべての面で害悪を来たします。私も質問を投げかけておいて、申し訳ないと思いますが、例えば自分が患者だとして、自分の前がアトピー皮膚炎の初診患者だったとしたら、2時間3時間もの間、診察時間がかかって、その間、自分以降すべての待ってる患者は同じ待ち時間プラスアルファを浪費するのです。ちょっとそのことも客観的に考えなければならないと思います。

結論としては、その位置や環境や病態によって、最適最上と考えられる処置対応をする、ということのようです。すべての人が全く同じことをしていては社会が回りませんからね、。

投稿者: 三本木クリニック

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