院長BLOG

2019.07.04更新

昨夜は名市大の准教授、また熊本大学の教授のお二方による講演を聴きに行ってきました。

高齢者の心不全がどういう機序でなるのか、また心不全の予防としての高脂血症の治療の意義について、など循環器領域の専門家としてのいろいろなエビデンスや考察を述べられました。

以前このブログでも紹介した、Lower the better という、LDLコレステロールは低いほど良い、という話に関連して、例えばリスクの高い患者さんで、LDLを100以下もしくはそれに近い数値で維持していたのに心事故を起こしてしまった症例は、炎症がCRPという項目でいうとほんのわずかに高値として認められたというデータが紹介されました。

CRPの正常値は0.3未満ですが、それが0.4とか0.5とか、そういう、本当に軽微な高値が、レトロスペクティブに見ると心臓事故を起こした患者さんで認められたというのです。

つまり、スタチン製剤だけでLDLをとりあえず抑えたというだけでは不十分で、そこへ脂質吸収阻害剤であるゼチーアだったり、また、青魚油由来のEPA製剤だったりを併用して、より血管の内膜の安定化を図らなければならない、というのです。

もちろん、スタチンだけで血管の安定化を図るというのであれば、LDLを50未満とかのかなりの低い数値に維持することが求められるようです。そのあたりはバランスかなと考えます。併用療法による相乗効果か、1種類強化療法か、です。

このところ、厚労省の指導とやらで、薬品メーカーが講演会を催すのを控える傾向にあり、また、その対象者である医師の辟易心情もあいまってでしょうか、こういう講演会の規模や参加者人数の縮小を感じます。厚労省といってもおそらくは外資系薬品メーカーからの圧力によるものだろうと思いますが、もともとごく一部の特権をもつ医師たとえば大学教授とか大病院の院長とか、そういうポストの先生方を除いたほとんどの一般医師は、メーカーから利益供与やワイロの類など、平成の初期のころからすでに受けていないと思います。私自身もそうですが、私がこれまでに務めたいろいろな施設や先輩後輩の医師を見ていてそう思います。

厚労省は一般医師の実態についてご存じないまま、外資のメーカーの合理化理論に従順にしているだけと想像されます。

ともあれ、そういう縮小傾向にあって、医師の勉強に対するモチベーションは当然下がりますし、医療の質の低下は免れません。もしかしたら、それによる医療の劣化さらに医療費の削減に少しでもつながればという財務省の思惑もあるのかもしれません。所詮官僚の考えることなどそんなものでしょう。

医師という仕事を、単なる社会の歯車の歯のようなものだと、社会が位置付けるのであれば、カリスマでもないふつうの凡人医師は、必要最低限の診療しかしないでしょう。

そこからは個人個人の意志にゆだねられることになりますが、私は貴重な休み時間、夜、土日、を利用しての勉強会にはなるべく参加します。もしこういう勉強会がなくなっていったならば(実際、当院で個別にメーカーが勉強会をしたいという要請は1年ほど前に完全に終わりました)、また対処を考えますが、少なくともいまの時代、古い教科書を読んで最新の情報を得るということはできないスピード時代です。ですので、ただ単に年に一度の学会参加や教科書を読んで勉強、というのでは劣化すること必至です。

投稿者: 三本木クリニック

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