院長BLOG

2019.06.10更新

先週末土曜日は高脂血症に関する講演会に参加してきました。

そもそも高脂血症は悪玉コレステロールであるLDLコレステロールと、中性脂肪トリグリセライドが高値となった状態を放置することで、動脈硬化を惹起し心筋梗塞、脳梗塞の原因となる疾患です。

これまで多くの臨床試験がなされてきて、とくにLDLコレステロールが一番イカンということで、それを強力に低下せしめるスタチン系薬剤が主役として用いられているわけですが、このLDLは下げ過ぎても逆に良くないのではないかという懸念が従前にばありました。それというのも、正常値下限以下に低下させた場合はどうか、という臨床試験がなかったからです。しかし近年結果がでた臨床試験からは、LDLコレステロールについては、”lower, the better"ということで、LDLは下げれば下げるほどに、心血管合併症死を避けることができることが分かりました。つまり、下げ過ぎても悪くないどころか、より良い結果となった、ということです。

それではLDLだけを相手にしておればいいのか、ということですが、私がこれまでも何度もブログで紹介したように、実は中性脂肪すなわちトリグリセライドもやはり甘く見ない方がいい、という結果をしめす臨床試験が続々とでてきているのが最近のトピックです。

中性脂肪によるリスクのことを「残余リスク」といっても良いかと思いますが、心筋梗塞や脳梗塞の予防として、高血圧、糖尿病、高LDLコレステロール血症を改善維持することだけで良いかというと、まだ残余リスクがあるんだよ、ということです。それは例えば中性脂肪だけでなく、運動不足だったり、メタボ体型だったり、ということを改善しなければ、本当の意味で予防しきればい、と。

中性脂肪は正常値が147以下ですが、それを超えてしまっている人、例えば酒飲みだったり、ちょっとメタボ体型だったり、そういう人にはたいてい中性脂肪が高値となっています。今回の講演会では、血圧や糖尿、LDLは正常値に維持されたいたのに、中性脂肪が高値であり、またメタボ体型であった人が、心筋梗塞を起こしてしまった症例が幾例も紹介されていました。つまり、中性脂肪値の異常を放置することは、やはりダメだった、ということです。

この6月から長期処方できるようになった中性脂肪の治療薬は、これまでのそれがスタチン系との併用が原則禁忌だったのに比し、併用可能となった初めての中性脂肪治療薬です。もちろんEPA製剤のような、総合的高脂血症治療薬はこれまでも今もありますが、しっかり中性脂肪の値を下げるかというと難しかったのです。それが今回の薬では平均として半分に数値を下げることができます。たとえば300という値であれば150に下がる、ということで、これはほぼ正常値のレベルにまで下がることになります。そして中性脂肪が高い人はLDLも高値であることがよくあるわけですが、その治療としてスタチンを使用していても併用が安全に可能であるという点が特記すべきことであって、この薬剤は今後の中性脂肪治療薬の主役になることでしょう。

台湾の大規模臨床試験では15分の日々の運動が死亡率を14%の下げると報告されました。これは寿命に換算すると3年の延命効果に相当するそうです。30分以上の運動は理想的ですが、そこまででなくとも15分の運動でもかなりの効果がある、というのは、それがアジア人のデータで示されたことは大変大きな意味があると思います。

こういう、高脂血症とか糖尿病とか高血圧といった生活習慣病というのは、通常は自覚症状がなかなか出てこないために、どうしても軽視されがちで、予防医療の大事さを説明する医師にとって、今のような自由選択の時代には、ストレスな作業ですが、その説得力を培う意味でもこのようなチョコマカと勉強会に参加することは価値があると自分は思っています。

投稿者: 三本木クリニック

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