院長BLOG

2019.02.24更新

昨夜は前夜に続き、また名古屋市内で研究会があり、漢方が高齢者医療にどのように有用かについてのフォーラムでした。

まず高齢者の特徴であるフレイルの概説についての講演がありました。年齢を重ねると自動的に筋肉や内臓機能が衰えますので、フレイルの予防としてはいろいろ挙げられますが、とにかく、運動とタンパク質摂取、そしてビタミンD摂取が重要であるとまとめられていました。

最近ではフレイルが栄養と運動機能の問題だけにとどまらず、社会的フレイルという概念もでてきており、例えば独居老人の認知症発症や悪化に如実に関わってくるというお話もありました。

その後、高齢者の精神神経領域、消化管領域、呼吸器領域、というように、各分野からの専門家の先生が講演され、それらの分野に関する西洋医学の限界と漢方の有効性について述べられました。

その中で興味深くメモした内容をいくつか紹介すると、、

風邪やインフルエンザをきっかけにして長引く咳には麦門冬湯や半夏厚朴湯といった1,2種類の漢方を単独または併用すると良い、とか、もともと免疫が低下している、体力が低下しているとみれば、補中益気湯で養生力を補うというのも良い、とか。

ちなみに、風邪、急性期や慢性期について有効な漢方を分かりやすく紹介したプリントを当院の待合室に用意しておきますので、ご自分で症状とあう漢方を見つけて処方依頼されるのも面白いと思います。漢方は不思議なもので、これが効くかな?と期待して服用すると、プラセボ効果も付加されて、結構良く効くものです。

メモした内容にもどると、

「気」の鬱滞には、具体的にどういう症状がでるかというと、風邪の症状にも似ていますが、ノドのつまり感、イガイガ感、息が十分に吸えない感覚、ノドのへばりつき感といったものがあり、このような症状には、先述の半夏厚朴湯が良い適応

認知症の随伴症状の中で、どちらかというと陽性症状であるところの、イライラ、暴力暴言、攻撃的症状にたいしては、その患者さんが胸脇苦満といって、わき腹の筋肉の緊張が強い場合に抑肝散が良く効く、反対に、おなかが軟弱で、心窩部で大動脈の拍動が触れるような場合には、抑肝散加陳皮半夏が有効

認知症や高齢者のアパシー(活動性の極端な低下や食事摂取困難)に対しては人参養栄湯が有効

胃もたれや胸やけ症状を有する、高齢者、やせ体型の女性には六君子湯を8週間続けることで明らかに効果がみられる

 

などの興味深い内容が得られました。他にも睡眠障害には最近ではベンゾジアゼピン系の西洋薬(ほとんどのいわゆる睡眠剤がこれに相当する)がいろいろな意味でよろしくないことが取りざたされてきており、欧米先進国をはじめとして処方の禁止や制限がなされ、日本でもだんだんそういう方向に行っている中で、日本では幸いにも漢方により代替治療が可能であって、たとえば以前にも紹介したかもしれませんが、酸棗仁湯で代用していくとか、今回教わったのは、不安と夢見不良を伴う場合には帰脾湯、加味帰脾湯といったものも良いし、虚証の体質の人なら先述した、抑肝散加半夏陳皮も有効だとか、いろいろ選択肢がある、ということも改めて確認しました。

前の日にも勉強会に参加して思ったことは、やはりときどきこういう知見にふれる機会を頻繁にもたないと、かつて学習したことをすぐに忘れてしまっていて、そういえばそうだったなあ、というようなことが多々あるので、コンピュータのように確実性のない自分の脳に対しては、この仕事を続けるのであれば、やはりどうしても絶えず知識のアップデートをし続けなければならないということです。

 

さきほど記述したように、風邪の諸症状に対する漢方の選択肢を紹介したプリントを待合室に置いておきますが、その内容は、ある専門家先生の監修により作成した漢方のパンフレットでして、具体的に挙げると、慢性期のものとしては、小柴胡湯、柴朴湯、柴胡桂枝湯、補中益気湯、柴胡桂枝乾姜湯、茯苓四逆湯、そして、急性期のものには、麻黄湯、葛根湯、小青竜湯、桂枝湯、香蘇散、麻黄附子細辛湯といったものが、症状に応じて紹介されています。

 

投稿者: 三本木クリニック

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