院長BLOG

2019.02.09更新

昨日の夜は群馬大学の循環器内科教授先生による講演に参加してきました。

スタチンを主体として高脂血症を治療してやることの歴史(それは平成元年に始まったということで、平成が終わる今年につながる感慨があります)から、これまでさまざまな大規模臨床試験が行われた総括をお話しくださいました。

つい最近、non HDL コレステロールの数値が重要なポイントであるという講演を聴き、またそれについて少しブログで紹介したばかりですが、今回の講演でもまったく同じようなことを聴きました。

血液中のアブラについてはLDLや中性脂肪が悪玉として分類されていますが、これらの分類は、割と便宜的なものであって、明確に別物のアブラではない、ということも実はあって、結果として善玉コレステロール以外はすべてあまりよろしくないものだという考えが正しくて、それは臨床試験でもきっちりと結果が出ているというのですね。

週刊誌などでは「コレステロールは下げなくてよい」とか「製薬メーカーの陰謀」などと定期的に書かれますが、それはさすがにウソです。大昔にノーベル賞を取った米国の科学者は、受賞したその研究内容として、LDL悪玉コレステロールの、血管に対する悪性度とそのメカニズムを解明しています。

そして、LDLをどこまで下げれば良いのか、という点についても、最近のデータでは(もうそんなに最近のものでもないですが)、LDLは下げれば下げるほど、心筋梗塞の予防効果(もちろん脳卒中も)がある、ということを示しています。

とはいえ、とりあえず常識的な落としどころとして、LDLは例えば二次予防としては70以下にしましょう、ということになりました。それまでは100以下だったのが、ここへきて70以下にまで下げられたというのですね。つまり二次予防とは、一度でも心筋梗塞や脳血管疾患を発症した人についての、次に同様疾患を起こさないための予防、という意味ですが、より厳格に悪玉を抑えなければならない、ということです。

このことは中性脂肪についても同様であって、単純にまとめれば、各々LDLとかTGとか、という風に対処するのもありですが、評価として、何度もいうように、non HDLコレステロールの値がカギである、ということです。

前回の私のブログではそれが170以下であるべしと学んだと記載しましたが、実はそれは最低限その数値であるということであって、150以下とかのように、もっと低めにすることがより一層宜しい、ということです。それが今回の講演で得た知識です。

スタチンやフィブラート製剤では何らかの副作用、例えば筋肉痛だとか、何となくの体調不良といった漠然としたものがときとしてあります。その場合、脂の吸収阻害剤であるエゼチミブ(商品名ゼチーア)で対応する、というのも良い方法かと思います。このエゼチミブについては、糖尿病を合併している患者さんにはより一層心血管系イベントを抑制する効果が明確になるそうです。

私自身も、それなりにダイエットしてもやはり高脂血症の体質で残念なのですが、体質や遺伝というものは、「だから諦める」ではなくて、「だから有効にその情報を活用して善処する」、というふうにとらえると、その事前情報が役に立つというものです。つまり、適切に治療をする、ということで、合併症を回避できるのです。

高血圧や高脂血症、また糖尿病といった三大生活習慣病は、なかなか自覚症状がでないことが治療のモチベーションの妨げとなる問題点ですが、長生きしたければ、元気でいたければ、自覚症状がなくても治療しましょうよ、ということです。

たとえばこの冬、私の患者さんの知り合いなどで、高血圧を放置していた独身中年男性がくも膜下出血で死亡したという話(私の患者さんではありませんが)を2件も聞きました。つまりそういうことなんですね。人間は、他人のふりみて我がふり直せる生き物です。どうか、皆さん健康のためにいろいろ勉強して、役立てていただきたいと思います。

投稿者: 三本木クリニック

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