院長BLOG

2018.10.26更新

昨日は夜名古屋市内で糖尿病治療に関する講演会に参加しました。

名古屋では有名な洪クリニックの洪先生による、これからの糖尿病薬のエースとでもいうべきでしょうか、SGLT2阻害剤の最新のエビデンスの紹介とこの系の薬剤の推奨の理由を教えていただきました。

1時間という短い講演でしたが、ポイントを絞った内容で、なおかつフランクな口調で非常に実践的な本質的な考え方での語り口なので、大変親しみを感じつつ勉強になりました。

糖尿病はそもそも何が問題なのか、ということを考えるに、やはり血管障害なんですね。

それは常々医師ならだれしも分かっていることですが、これまでの薬剤では主として微小血管の保護という観点でエビデンスがでていたし、血糖を正常化しておけば、どの薬剤であれ良いのだということだったのですが、ここへきてもうそういう時代ではなくなった、というのです。

従来多数ある糖尿病治療薬では微小血管の保護により、網膜症や腎機能といった問題についての効果は期待できるのですが、脂肪肝や肥満メタボの問題や心臓や脳といった大血管の合併症の予防にはあまり寄与していないことが最近発覚してしまった、というのです。せいぜいピオクリタゾンという薬剤が一応エビデンスがあるのみでした。

そこで、実は一番の新薬ではあるSGLT2阻害剤こそが、一番これからの糖尿病治療薬として第一選択となるべし、ということが結論です。

この薬剤はⅡ型糖尿病であれば、インスリンとの併用も可能となっていることもなかなか画期的です。

とにかく、尿から一定のカロリー量の糖を逃がすのですね。言ってみれば、薬剤でもって、腎性糖尿状態にしてしまうということなのですが、これが逆説的に本当に安全で有効で、肥満や脂肪肝にも有効なのです。

多くの糖尿病はⅡ型ですし、メタボがベースになっているので、もうこれからは、膵臓にムチ打つスルフォニルウレア系がダメなのはもちろんですが、いま日本で一番人気のあるDPP4阻害剤ですら、実は大血管の合併症の改善や予防に寄与しないことが判明してしまったので、もう、最初の治療時点でこのSGLT2阻害剤もしくはGLP1アゴニスト(これは注射剤しかないですが)を第一選択とすべし、ということなのですね。

おそらくこの新しい考えは今後急速に広まっていくことになると思います。それほどに明確なエビデンスが世界的に出てしまっています。

以前にもこの系の薬の講演会の報告ブログをかきましたが、この薬剤は脂肪肝の治療になるほか、当然内臓脂肪の改善、そしてさらには尿酸も下げるということにも副次的に貢献できるということです。

腎臓の寿命を延ばし、心不全の予防にもなるということで、これは今後、かなりのパラダイムシフトをしていかねばならないなあと思う次第です。

当院でもこの薬剤を処方している患者さんはだんだん増えてきていますが、これはらは根本的に処方内容を変更していく必要があるようです。というのも、これまで述べたように、これまではまだまだ様子見といった雰囲気があったこの数年間ですが、2016年以後どんどん新しい大規模臨床試験によるエビデンスが明確となったり、何万例という症例をメタ解析したデータでもこの薬剤の素晴らしさが圧倒的に証明されてしまった今となっては、もう過去の慣性にしばられている場合じゃないなということです。

(もっと言ってしまえば、糖尿病じゃなくてもですね、脂肪肝の治療、メタボの治療に効いてしまう、ということです)

ただし、悪玉のLDLコレステロールについては残念ながら有意に下げません。しかし善玉のHDLコレステロールを上昇させ、かつ、中性脂肪トリグリセライドを有意に下げることが証明されました。

医療は日々刻々と進化進歩しています。もちろんそれらを開発したり研究するのも人間ではありますが、同時に、それを勉強してついていかなければならない多くの人間はあまり進歩していないという、何とも言えないギャップがありますが、そうはいっても、各々の分野で向上するのが生き物として、プロとして正しい生き方であることは間違いないでしょう。

 

当院では糖尿病治療も普通に承っております。インスリン治療もできます。

今後はメタボ改善外来とでも言うべき、そういう治療も地味に開いていこうかと考えています。

投稿者: 三本木クリニック

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