院長BLOG

2018.06.23更新

今週も講演会がありまして、名市大の神経科の先生と、保健衛生大学病院の精神科の先生による、認知症についての講義に参加しました。

いまや日本はなんと、65歳以上の6人に1人が認知症という、衝撃的なお話から始まって、、

認知症の内訳ですが、諸説ありますがだいたいアルツハイマー型が3分の2、血管性が2割、その他、レビー小体型、前頭側頭葉型、というふうになっています。

いつごろから、どの種類の薬を選択し開始するか、ということについては、やはり一般的にはなるべく早く、ということになりますし、どの種類をとなると、今回の講演では、過去のたくさんの文献をレビューしたりまとめて統計を取りなおしたりした結果が報告され、その結果、ドネぺジルとメマンチンの併用から開始、というのが実は第一選択である、ということでした。

この結論は実は意外に思ったことでした。というのも、これまでのいろいろな講演などでは、ドネぺジルなどのコリンエステラーゼ阻害剤のうち、何をどう使い分けるか、という話から始まり、それでもコントロール不良な場合にメマンチンを併用する、というのが一般的だったからです。

今回メタ解析などで保大の精神科の先生が導き出した答えは、最初から併用、その次に不具合があればメマンチン単独、ということでした。なかなか賛否分かれるところだと思いますが、これはドネぺジルに比較的多いとされる副作用や、そういう副作用などの理由による治療脱落などの不利益などを考慮した結果の推奨、ということになります。

また、精神科ならではのお話としては、認知症患者に良くありがちな不眠症状については、いわゆる睡眠導入剤や鎮静剤は使用が難しかったり効果が得られなかったり、なによりも第一に、転倒などの副作用のリスクが高いことから、不眠に対してもメマンチンが有効であるということも話されていました。これはちょっとにわかには信じられないことですが、まあ大学の先生のことですから、何かしらのエビデンスがあってのことでしょう(今回の講演ではその根拠についてはあまり詳細には触れられませんでした)。

また、認知症でない、老人の不眠については、いわゆる松果体ホルモンのメラトニンに関する作用による眠剤を推奨されていました。これは確かに睡眠リズムを調節するという、比較的特殊な立ち位置の薬ですが、私の経験からは残念ながら効果が弱い。ただこれも、いろいろ試す価値はあるだろうとも思いましたので、今後適応のある老齢者の不眠に処方してみようと思います。

それから先ほどの認知症治療の話に戻りますが、メマンチンとドネぺジルとの併用が良いとされるのは、アルツハイマー型と血管性認知症の2種です。レビー小体型についてはドネぺジル単独が基本となりますが、周辺症状(これが認知症患者の一番厄介な諸症状)いわゆるBPSDにはメマンチンも有効である、とされています。

前頭側頭葉型、これは分類によってはピック病と言われることもあるようですが、どの認知症の薬も効かないことになっています。ただ、頻度は少ないです。

ちょっとした講演会だけでもこれだけの内容が抜粋されるので、講演会などに参加して聴講することで自然に入ってくる知識というのは、本当にたくさんあるものだなあと、改めてありがたく思った次第です。

認知症の治療は私の専門ではありませんが、実際に特養ホームの70名のほぼ認知症の患者さん達を診ている、それも実質私一人で対応しているため、実際の臨床経験としてはなかなかたくさん勉強させてもらっていると自負していますので、教科書と現実のギャップや、学問と現場の違いや、社会的資源の活用実際など、実は実は本当に奥が深く難しい面がある分野であると思っています。そして、当然全身状態や、癌を併発しているとか、寝たきりだとか、持病はたくさん当然あるので全身状態を把握して、また最後は看取りも担当する、など本当に大変といえば大変なのですが、やりがいというか、楽しさも多少はある分野でもあると思っています。

重症の認知症、とくに記憶障害以外の、社会的に非常に厄介な随伴症状を伴う症例はさすがに専門家の手を借りるしかありませんが、そうでない場合にはたいてい当院で対応できます。よろしくお願いします。

 

投稿者: 三本木クリニック

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