院長BLOG

2018.05.21更新

昨日は貴重な日曜日を丸一日費やして、かかりつけ医機能研修を受けてきました。

また8月にも同様の研修がある予定なのですが、どうしてこんなに頻繁に開催され参加しなければならないのか、ちょっと分からないほどに重複する内容ではあります。

そうは言えども一応は何かしらは得るものがあるのが学会や研究会や研修会、講演のメリットではあります。

今回の講義は、

かかりつけ医の感染対策

健康増進、予防医学

フレイル予防、高齢者の老年症候群

かかりつけ医の栄養管理

かかりつけ医の在宅医療、緩和終末期医療について

症例検討

といった内容でした。

 

各々の講義でいろいろインパクト残った内容がありましたが、ごくかいつまんで紹介すると、、

感染症対策について、からは、まず歴史的な話で、昔、ゼンメルワイスという医師は、産褥熱で死ぬ患者の多い病棟では、医学生が解剖実習をしてそのまま病棟実習をしていることを原因としてつきとめて、石鹸水と塩素化石灰水で手洗いをするよう指導し死亡率を激減させた(産科死亡率18%から0.1%へ)というエピソードが紹介されました。この際、手洗いをすべきという指示に対して多数のクレームがあったそうです。なかでも、所属病院の院長からや、ウイーン医学会からも憎悪で対応されたとのこと。これはパスツールが「目に見えないバイ菌(病原体)」の概念を発見した30年も前にすでになされていた快挙なのですが、医学会のお偉い面々からは全く評価されなかったそうです。ゼンメルワイスは1816年生まれの医師だそうですから、その時代でもいまの時代と同様、バカの壁みたいなものがあったのですね。

手洗いの重要性はいまでは当然のことですが、さらに興味深いこととして、通常の石鹸での手洗いと、抗菌剤石鹸でのそれとでは実は差がないことが2002年のパキスタンでの研究で確認されております。

他、感染症について最近のトピックとしては、少し前に話題になった、麻疹ですね。これはタイから台湾そして沖縄へと移動した人が感染源だったと確認されています。愛知県でも感染者がでましたが、これら皆遺伝子型が同じで、海外からのウイルスだと確認されています。この感染源の人の移動経路については個人的には「短期間によくそんなあちこち移動するものだなあ。何の仕事?旅行?」と訝ってしまいましたけれども、、。

STD(性感染症)が日本でもかなり問題となり増加しているようで、エイズ、梅毒、といったものが、重篤な感染症として紹介されました。おそろしいことです。

フレイルについては、いまさかんにメディアでも取り上げられるテーマですので、興味深く拝聴しました。なかでも、BMI(body mass index)は中高年では23から24くらいがベストである(つまり生命予後が良い)、というデータが面白かった。というのも、私自身日々の臨床をしていて、中高年の場合BMIが22を正常とするのには無理があると考えていたのです。日本でのきっちりとしたコホート研究でこのことが示されて納得した次第です。私は人間ドック学会の主張した間違った情報工作には憤怒しましたが、正しい考えというのは過去か未来かにちゃんとエビデンスがでるものです。

サルコペニアやオーラルフレイルといった、介護保険の受給を受けるような高齢者障害者にまつわる話も、新たな視点で見直すことができました。

栄養管理の講義では、高齢者の栄養素の推奨優先順位が示され、その第一位はタンパク質でした。二位が脂質、三位がビタミンや微量元素、といった形で、炭水化物は???ありませんでした。これは「だから炭水化物ダイエットだ」としてしまいがちな話なので注意が必要です。この提唱については2010年の日本人の食事摂取基準という公式文書に掲載されている内容ということなので、当然それなりの根拠があるのでしょうが、要するに戦後何十年も経過した日本では悪い意味でのメタボが蔓延しているので、それを一つの槍玉にあげる意味もあって炭水化物を省いたのかもしれません。これについてはいずれ是正されることになるとは思います。炭水化物ダイエットの提唱者が70歳で亡くなっている現実は謙虚に受け止めるべきでしょう。もっとも、炭水化物なしでも栄養学的に問題なく生活できることは、タンパク質や脂質から肝臓が代謝しエネルギーを取り出すからなのであり、それはそれで分かります。しかし肝臓が疲れて脂肪肝などで代謝能力が落ちたら?ということも考慮すべきかとは思います。

在宅での緩和ケアについて、からは、対象疾患が呼吸器、悪性疾患、認知症、神経難病、などにより在宅での緩和ケアをどうするか、という内容で講義されました。今回の講義では言われませんでしたが、末期患者さんのための「緊急退院、自宅で看取り」というテーマもこれからの時代、価値が上がってくるのかもしれないと、最近、他のドクターによる提言を見て、思っています。

最後の症例検討では、認知症の徘徊や暴言を呈する患者さんにどのように医療や社会ソースが介入すべきか、ということや、重篤な精神疾患をもつ、要介護3というADLの患者さんにどう対応するか、ということについて紹介されました。

症例検討で提示された症例は、かなり具体的で、かつ、しばしばこういうケースある、と感じるものですので、かなり考えさせられるテーマとなりました。

ごくかいつまんで印象に残ったことを挙げましたが、それにしても、かかりつけ医というのは、本当に包括的にいろいろと勉強しないといけないもので、、というか、つまりはかかりつけ医というのはふつうはコンダクターとして機能するわけなので通常は内科なのですけども、その割にはいまのところ、かかりつけ医としての機能について、勉強だけはさせられる割に診療報酬にはまだ個人クリニックには反映されていないものだと嘆息しました。

 

 

投稿者: 三本木クリニック

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