院長BLOG

2018.05.16更新

シミの治療や相談に来られる患者さんをたくさん診て、かつ、エキスパートの先生の講習や著書でシミの治療法を学ぶにつれ、普段何気なく指導している「こすらないように」という言葉が、具体的にはどのレベルでのことなのか、ということがうまく伝えていなかったなあと思うようになりました。

というよりも、自分自身が、実際に患者さんの皮膚に応じた保湿剤の塗り方(もちろん皮膚に合わせた剤型のものを選択してありますが)を実際にして見せてみて、初めて患者さんに多少なりとも理解してもらえるのではないかという思いが沸いてきた、という気持ちです。

 

例えば、「こすらないように気をつけてました」と言っている患者さんでも、実際にはこすってる、ということが甚だ普通にありふれているようです。

フォトセラピーやレーザー治療でシミが薄いかさぶたになって、それが自然に脱落するのには本来は2週間ほどかけるべきで、すなわち換言すれば、それだけ長い日にちの間、かさぶたを温存するべき、ということです。

しかし実際には1週間でほぼ全部脱落、もしくはひどいと数日後にはすでにかさぶたを完全に除去してしまっている事例も少なくないのです。

かさぶたを温存することは、次の皮膚の準備のために重要であり、早期に脱落させてしまうと、結果的にリバウンドしみが発生してしまいます。リバウンドシミは1年ほどかかってやっと収束するという、ストレスな副作用です。ですので、最初の2週間をいかに大事にするか、ということで、長期的な仕上がりの良しあしに関わります。

「こすってない」と意識しているつもりでも、無意識に長年の習慣で、普通に洗顔もする、普通に化粧も化粧おとし作業もしてしまう、となれば、かさぶたの温存などは無理に決まってます。でも別に化粧をしてはいけないといっているのではないのです。ゆっくり時間をかけて丁寧に、皮膚に圧力や摩擦力を極力かけないようにゆっくりとやる、ということです。それがつまり、こすらない、ということになるかと思うのです。

シミの患者さんの皮膚は大抵、菲薄化しヨレヨレです。もともと色白で上手に日焼けをできない体質ゆえにシミの発生を招くのですが、さらにそういう人の皮膚は薄いことが多いです。ヨレヨレになっているのです。それは同時に、保湿力が弱いことでもあり、脂で皮膚バリアを形成する能力が低いということでもあります。

だからこそ、保湿剤を塗布するときには、そういう肌質や状況の人は、できればローションでなしにクリームを使用するべきです。ローションは手早く塗りやすいがアルコールの成分により皮膚を傷めるリスクもわずかながらあります。化粧水については本来は保湿剤で代用すべきですが、化粧の下処理として化粧水は外せない、という人には無理強いできない面もあります。化粧水もアルコール成分が入っていますからね、大概。いくらヒアルロン酸成分が付加されているものであっても、アルコールや防腐剤、合成化学薬品が含有されているものは、塗りやすいものであるほど皮膚には悪影響、といえるかもしれません。

いくらレーザーやフォトセラピーをしても、家に帰れば毎日皮膚をこすりまくる習慣が続けば、「せっかく美容の治療をしたのに全然効果ない」ということになってしまうのは明白です。治療というのは悪癖を是正して初めて意味があり効果がでます。

例えるなら、アルコール性肝硬変の人が、アルコールを飲みながら肝臓の保護治療薬を服用するようなもので、どんどん火を焚いて焼いている石に少々の霧吹き水でも噴霧して鎮火しようとするようなものです。

こすらない、ということを、できれば診察時間に余裕があれば各人に、こすらない保湿クリームの塗り方を実践的に教えてあげたいのですが、なかなか全員に指導することが(とくに症状の軽い人には)時間的に難しいので、今回ここで少し説明することにしました。

弱い皮膚に自分の手でもって地震を起こさせない、というイメージです。こすったり揺らしたりしない、ということです。

乾燥肌状態を放置することも、シミの原因となります。とくに今の時期紫外線がスゴイですから、紫外線を浴びるだけでも皮膚炎になり、皮膚表皮がはがれてしまい細かい傷になります。保湿剤クリームを丁寧に塗布することが、とくに医療用の保湿剤は傷修復作用効果も併せ持っていますので、大変有効となります。

投稿者: 三本木クリニック

  • まずはお気軽に
    当院へご相談ください
    内科/小児科/肛門科/外科/形成外科/皮膚科/美容
  • common_tel.png