院長BLOG

2018.05.11更新

昨晩は、日本では新しく導入された、緩和治療薬のヒドロモルフォンというオピオイドについての講演会に参加しました。

聴講を終えて、感じたことは、10年前や20年前に常識だったことや定説だったことが、いまになると全然違うことになっているのだなあと、医療の世界(他の世界でもそうかもしれませんが)の変遷はなかなか劇的なものだということでした。

もちろん、根本的なことについてはなかなか変わらないし、変わるべきでもないテーマもあるのですが、こと薬剤の進歩開発についてはさすがなものがあります。

今回のヒドロモルフォンという、医療用麻薬ですが、欧米では80年前から使用されているもので、それなのに日本ではほんの最近になってからようやく導入されたということで、いまだにそんな薬もあるのだと、何とも言えない感慨をもちました。

要するに、、モルヒネの副作用を軽減したオキシコドンとほぼ同等の効き目と副作用ですが、代謝についてはモルヒネと同じグルクロン酸抱合により、他の薬剤との競合や増強効果の影響を受けづらい利点があるようです。また、腎機能への影響も比較的少ないということで、世界的にみれば決して新しくもない薬だそうですが、日本においてはいろいろと使える面があるということです。そして肝心な点は、1日1回の服用で良いこと、頓服レスキュー薬の剤型がいままで他の薬剤にはない錠剤タイプだということが、現実に緩和医療を受けている末期がん患者さんや末期呼吸不全患者さんにとって大きなメリットで、服薬についての負担が楽になるそうです。これまではレスキューの内服薬というと、粉薬や水薬しかなかったので。

とはいえ今の日本には貼付剤もある合成麻薬もあったり、いろいろ他にもオピオイドは選択できる余地があるので、まあ、劇的に何かが変わるということでもないですが、、。

最初に書いたように、ちょっと昔の時点では、オピオイドは種類が違うものを併用してはならない(互いに拮抗してしまうので)という常識があったのですが、いまではそんな常識は全く非常識になってしまっているようです。これについては詳細理由を確認中ですが、おそらくはCYP3A4といった代謝酵素に関連していろいろな薬剤が代謝されるために、経験的にあたかもオピオイド同士が拮抗してしまうように勘違いしてしまった歴史があるのかもしれません。理論というのは現象に後付けできるものだから、理論的に言い訳はいくらでもできたわけです。ただし、実際にいろいろな薬剤を併用することで、副作用も軽減でき、効果が増強できるという臨床経験自身が最も大事なことになります。

 

ちょっと上手に説明ができなくてお恥ずかしいですが、とにかく、いまの時代は、疼痛緩和や呼吸困難のコントロールについてはかなりレベルが高い治療ができるようになっている、ということです。もちろん、ちゃんと分かって勉強して、でなければ実践などできないですが。今回の講演で、演者の先生が言いたかったことは、「医者が慣れた薬剤で使いたがる傾向があるけれど、ちゃんと知識をアップデートして、患者さんにとって最善の治療を提供しなければならない」ということだと思いました。

投稿者: 三本木クリニック

  • まずはお気軽に
    当院へご相談ください
    内科/小児科/肛門科/外科/形成外科/皮膚科/美容
  • common_tel.png