院長BLOG

2018.04.21更新

漢方薬の桂枝茯苓丸は瘀血の治療薬の代表格ですが、「和漢診療学」の寺澤先生によれば、桂枝茯苓丸はなぜ瘀血の治療に効果があるのかを実験的に確認されています。

そもそも瘀血とは寺澤先生の言葉表現をそのまま使えば「すらすらと流通すべき血(けつ)が何らかの障害によりスムーズに流れなくなった病態」です。

それを科学的に明らかにしよう、ということで実際、眼球結膜の微小循環を確認されたそうです。

その結果、瘀血の患者では、直径100ミクロンの微小血管のなかの赤血球が塊を形成し、ドロドロと流れ、流速が著明に低下していたが、桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤を使用して1か月後なり半年後なり経過したころに再検査し改善されたことを確認できた、というのです。

そもそもなぜ赤血球は本来バラバラになっているのかというと、膜の表面にシアル酸が分布し、マイナスに荷電しているため赤血球同士は磁石の反発のように相互にくっつかないようにできているそうです。このことは当然ながら赤血球の膜表面の有効面積を最大限に活用し、酸素の受け渡しに効率的に働くのです。これが瘀血患者だと赤血球がいくつも数珠状にくっついてしまって、最大限の効果を発揮出来ない。それどころか、微小循環においては血管閉塞を来たす可能性もあるわけです。いわゆるドロドロになる。

しかし桂枝茯苓丸によって、これが改善される(この原理は、積み重なりくっついてしまう架橋分子であるフィブリンなどの異常タンパクを消し去ることによることも確認されているようです)と、血流が改善、ひいては組織内でのアシドーシスも当然ながら改善されるということになるわけです。

そこで寺澤先生はさらにこのことを経て、桂枝茯苓丸が微小脳梗塞の治療にもなること、脊柱管狭窄症にも有効だろうこと、さらには網膜の黄斑変性や眼底浮腫にも治療効果が発揮されたことを確認し、述べられています。

 

通常、西洋医薬でいう「血液サラサラの治療」というと、抗凝固剤を指します。ビタミンKを阻害することで抗凝固作用をなすワルファリンの系統と、血小板の凝集を抑制させることによる抗血小板剤の系統の、大体2種類です。細かいことを言えば他にもプロスタグランジンEに関連して血管拡張作用をもたらし、かつ血小板凝集抑制をさせる系統のものなどもありますが、いずれにせよ大まかにいうと一般の医者はそれらを想定します。

漢方薬の専門家ならば桂枝茯苓丸と瘀血の関係については基本中の基本のことですので当然熟知されているわけですが、一般臨床医が桂枝茯苓丸が画像的にも分かりやすい意味での血液サラサラに有効であると、多くの医者は知らないことでしょう。この画像のイメージを食べ物で例えると分かりやすいのですが、上手な料理人が作った美味しいチャーハンは、米粒がパラパラになって仕上がる、というのと似ています。米粒を赤血球に例えるわけですが、米粒すなわち赤血球がダマの塊のようにならずに1粒ずつがバラバラになった状態、ということです。このパラパラ赤血球が末梢微小循環のためには健全に働く、ということです。

帝京大学の血管外科医であり漢方の専門家でもある新見先生の著書によれば、下肢静脈瘤の治療に桂枝茯苓丸が明らかに有効である、とあります。微小循環の改善は当然ながら太い血管の循環改善にも役立つ、という良い証拠ですね。

 

投稿者: 三本木クリニック

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